ワンポイントWeb講座

税効果会計 ~財務会計:企業会計の基礎

実務補習と実務従事

税効果会計 概要

税効果会計とは、企業会計上の収益や費用と、税法上の益金や損金の考え方の違いから発生する認識タイミングのズレを修正して税金を適切に期間配分することにより、税引き前利益と法人税等を合理的に対応させることを目的とする会計処理のことです。

税効果会計を理解するには、まず企業会計上の利益と税法上の所得の違いを理解する必要があります。

企業会計上の利益と、税法上の所得

企業会計上の利益(税引前利益)は「収益-費用」で求め、税法上の所得は、「益金-損金」で求めます。

この時、収益と益金は同一でなく、費用と損金も同一ではないので、利益と所得には差異が発生するのです。

例えば、会計上は備品等の一括減価償却は認められます。これは、実際に利用する期間を考慮して、正しく利益を計算するために、会計にとって必要な考え方なのです。

一方、税法上では、備品等は、法定耐用年数の期間に渡って、きちんと減価償却をすることが求められます。その理由は、必要以上に損金支出を認めると、所得金額が小さくなり、税金も少なくなるようなことが起こるからです。

税法上の所得の求め方

会計上の税引前当期純利益をもとに、「①会計上は収益であるが、税法上は益金と認められないもの」、「②会計上は収益でないが、税法上は益金と認められるもの」「③会計上は費用であるが、税法上は損金と認められないもの」「④会計上は費用ではないが、税法上は損金と認められるもの」を加減することにより、税法上の所得を求めます。

なお、①のことを益金不算入、②のことを益金算入、③のことを損金不算入、④のことを損金算入と呼び、具体的には税引前当期純利益に②③をプラスし、①④をマイナスすることによって、税法上の所得は求められます。

①益金不算入の例受取配当の益金不算入など
②益金算入の例売上高の計上もれなど
③損金不算入の例交際費の損金不算入額、減価償却費の償却超過額など
④損金算入の例減価償却の当期容認額、売上原価の計上もれなど

税効果会計の対象

会計上の利益と税法上の所得の差異が全て税効果会計の対象になる訳ではありません。前述のとおり、会計上の利益と税法上の所得に掛る課税タイミングの異なるものだけが、その対象となります。

例えば、会計上、当期にPCを一括償却したので利益は小さくなったが、税務上は一定以上の減価償却が認められないため、利益に比べてその分所得が大きくなったとします。その場合、当然、課税金額も所得に対しての方が大きくなります。

一方、次期について考えてみます。次期は、当該PCに対する減価償却は終了していますので、その分の費用支出はありません。しかし、税務上は一定の減価償却が損金として認められます。次期には逆に、企業会計上の税額の方が大きくなるのです。

以上のようなことから、このケースでは、「企業会計上の当期純利益をべースとして考えた場合」、税金の前払いをしている、ということになります。

このように、「課税認識のタイミングにより、当期は税額計算に差異があるものの、将来、通期でみた場合に差異が解消するもの」を「一次差異」と呼び、税効果会計の対象となります。

一方、一定額以上の交際費のように、法人税上は損金不算入になるものがあります。これは、時間が経っても、その差異が埋まることはありません。課税認識のタイミングの問題ではないからです。このようなものを「永久差異」と呼び、税効果会計の対象外となります。

なお、一次差異には、以下の通り2種類あります。

将来減算一時差異一時差異が解消する時の税務申告に置いて、当該期の課税所得を減額する効果を持つものです。
将来加算一時差異一時差異が解消する時の税務申告に置いて、当該期の課税所得を増額する効果を持つものです。

税効果会計の会計処理

繰延税金資産・将来減算一時差異が発生するケースに適用します。

(課税所得>税引前当期純利益)

・この場合、会計上の費用として認識する税金額よりも、法人税等納付額を多く払っていることになります。

・この差額は、前払費用の性格をもち、会計上は当期の法人税等からマイナスします。

(借)繰延税金資産 xxx    (貸)法人税等調整額 xxx

繰延税金負債・将来加算一時差異が発生するケースに適用します。

(課税所得<税引前当期純利益)

・この場合、会計上の費用として認識する税金額よりも、法人税等納付額の支払いが少なくなっていることになります。

・この差額は、未払費用の性格をもち、会計上は当期の法人税等にプラスします。

(借)法人税等調整額 xxx    (貸)繰延税金負債 xxx