今回は、コンピュータ本体と周辺機器の接続などに利用される入出力インタフェースの話。
中小企業診断士1次試験の経営情報システムの問題でも良く出題されるテーマです。
そのインタフェースですが、
- シリアルインタフェース(シリアル伝送方式)
- パラレルイタフェース(パラレル伝送方式)
と、2つに大別することができます。
ここで1つ質問なのですが、
「シリアルインタフェースとパラレルインタフェース、どっちが高速?」
と尋ねられたら、あなたはどちらだと回答するでしょうか?
実はこの問題、奥が深くて、ネットを検索すると
- 「シリアルの方が速度的に有利」
- 「パラレルの方が速い」
など、相反する説明が見つかります。そして、どちらも完全に間違いとは言えないのです。
一体どういうことでしょうか?
この記事では、その秘密を分かりやすく説明します。
そして、この記事を読んでもらえれば、シリアルインタフェースとパラレルインタフェースについて、より深く理解ができると思います。
特に中小企業診断士1次試験を受験する方は、ぜひ参考にして欲しいと思います。
目次
入出力インタフェースとは?
入出力インタフェースとは、パソコン本体と周辺機器など、ハードウェア同士を接続するための規格の総称です。
シリアルインタフェースは1ビットずつ送信する方式であり、パラレルインタフェースは複数ビットごとに同時に送信する方式です。
また、伝送方式とは入出力インタフェースなどの伝送路において、同時に送信するビット数のことです。
試験対策上はシリアルインタフェースとシリアル伝送方式は同じ意味と考えて問題ありません。
シリアルとパラレル、どちらが速い?
結論からいえば、
現在は、シリアルインタフェースのほうが速度的に有利
とされています。しかし、パソコンの歴史を振り返ってみれば、そうではない時期、つまり「パラレルのほうが高速」とされた時期もありました。
その結果、比較的古い時期に公開されたネット上の記事などのうち、更新されていないものには
「パラレルインタフェースのほうがシリアルに比べて高速」
などと書かれたものも数多く残っているのです。
パソコン黎明期はパラレルインタフェースのほうが速度的に有利だった
シリアルインタフェースとパラレルインタフェースの定義を、もう一度確認してみましょう。
- シリアルインタフェースは1ビットずつ送信する方式
- パラレルインタフェースは複数ビットごとに同時に送信する方式
たとえば、8ビットのパラレルインタフェースだと、8ビット同時に送信することができます。
単純に考えれば、1ビットずつのシリアルより、8ビットずつ同時のパラレルのほうが速いですよね。
これが、パソコン黎明期(2000年以前)の一般的な考え方でした。
現在では、シリアルインタフェースのほうが速度的に有利になっている
しかし、コンピュータの通信速度は凄まじい勢いで高速化しています。
1990年代前半、自宅でインターネット接続ができるようになったばかりの頃は、2400bpsや9600bpsといった回線速度が一般的でした。
bpsはbit per secondの略で、ビット/秒のこと。つまり2400bpsとは1秒間に2400ビット送信できる速さのことです。
それが現在では、100Mbpsなどの速度も珍しくありません。M=メガ(百万)ですから、100Mbpsとは100,000,000bps(=1億bps)のこと。
4桁も5桁も速度が向上しているわけです。
通信速度が大幅に向上、というと良いことだらけのように感じますが、実は、通信速度の向上がパラレルインタフェースの足かせになっている、という事実もあるのです。
通信測度が速くなり過ぎると、パラレルインタフェースでは複数ビットの同期が難しくなる
パラレルインタフェースでは、複数ビット同時に発信しますが、これらはタイミングを合わせて同時送信しなければなりません。
なぜなら、複数ビットを連続して送信するわけですから、各ビットがバラバラに送られてくると、受信相手も混乱するからです。
こうした「複数ビットのタイミングを合わせて送信する」というのは、パソコン黎明期の比較的通信測度が遅い時代には、問題なく実現できました。
しかし、飛躍的に通信速度が向上した現在、データを送信するたび複数ビットのタイミングを合わせることも難易度が向上してしまったのです。
シリアルインタフェースのほうが構造が単純な分、高速化に対応しやすい
その結果、現在では
構造が単純なシリアルインタフェースのほうが速度を向上させやすい
として、高速化に対応したインタフェースが多く開発されるようになっています。
正直なところ、パラレルインタフェースは現在のもの以上の高速化製品は、少なくとも市販製品レベルでは、今後出てこないでしょう。技術的に不可能ではないと思いますが、さらなる高速通信の状況で複数ビットのタイミングを合わせることには、さらにコストがかかるようになるからです。
以上のような経緯で、現在ではシリアルインタフェースのほうがパラレルインタフェースよりも高速な製品が多くなっています。
主なインフェース
ここでは、シリアルインタフェースとパラレルイタフェース、主な規格を復習しておきましょう。
主なシリアルインタフェースの規格
- USB
- IEEE1394
- bluetooth
- IrDA
- SATA
- eSATA
ちなみに、eSATA(external Serial ATA)は、ハードディスクなどを外部接続するためのインタフェースです。内部接続用のシリアルATA(SATA)規格を外付け機器を接続できるように拡張したものです。
また、SATAはパラレル規格のATAをシリアル化したものです。ATAはIDEとも呼ばれ、パソコン黎明期から使われている、パソコンにハードディスクを内蔵するためのインタフェースです。
つまり、
パラレルのATAを高速化したい
↓
シリアルATA(SATA)の登場
↓
内蔵ハードディスク接続用のSATA規格を外付けハードディスク対応させたい
↓
eSATAの登場
というのが時系列の流れなんですね。ここでも、パラレルインタフェースの限界が垣間見れるような気がしますよね。
主なパラレルインタフェースの規格
- SCSI
- セントロニクス
- ATA(IDE)
まとめ
ここまで、シリアルインタフェースとパラレルインタフェースの速度について、通信速度の変化を時系列に振り返りながら説明してきました。
その結果、
- 通信速度が遅かったパソコン黎明期には、複数ビットを同時に送信できるパラレルインタフェースのほうが速度的に有利だった
- 現在のように通信速度が大幅に向上した時代では、仕組みが単純なシリアルインタフェースのほうが高速化しやすい
ということが理解頂けたと思います。
「なぜシリアルの方が高速な製品が多いのか」という理由を理解してもらえたと思うので、知識として定着しやすいでしょう。
ぜひ、この記事を契機として、様々なインタフェースの規格の学習に繋げて頂ければ幸いです。
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