目次
中小企業診断士とファイナンシャルプランナー(FP)の業務内容の違い!
金融業界で働く方に、中小企業診断士とファイナンシャルプランナー(FP)の資格が人気です。
もちろん他の業種でも高く評価される国家資格ですが、中小企業診断士とファイナンシャルプランナー(FP)の組み合わせは金融業界で特に評価されます。
まず最初に、中小企業診断士とファイナンシャルプランナー(FP)の業務内容の違いを見ていきましょう。
- 中小企業診断士は起業経営に関する戦略策定や組織運営、マーケティング、ファイナスや会計など多彩な知識を有し、主として中小事業者に経営コンサルティイングを実施する
- ファイナンシャルプランナー(FP)は金融や税金、不動産などに関する知識を持ち、相談者の資金計画やライフプランニングをサポートする
これらの資格を併せて取得することで、金融ビジネスにおける評価は高くなります。
さらに、中小企業診断士とファイナンシャルプランナー(FP)は転職で役立つだけではなく、将来的に独立開業を目指している方にもおすすめの資格です。
中小企業診断士とファイナンシャルプランナー(FP)の試験内容の違い!
中小企業診断士とファイナンシャルプランナー(FP)は、業務内容だけではなく試験内容にも違いがあります。
中小企業診断士の1次試験の内容は、「経済学/経済政策」「財務会計」「企業経営理論(戦略/組織/マーケ)」「運営管理(生産/店舗販売)」「経営法務」「経情システム」「中小企業経営/政策」の7科目です。
1次試験に合格した後に、2次試験の筆記試験と口述試験も突破しないといけません。
一方、FP検定では、以下6分野が出題対象となります。
- ライフプランニングと資金計画(リタイヤメントプランニングも含む。住宅ローンや社会保険、教育資金に関する知識)
- リスク管理(生命保険や損害保険、リスクマネジメントに関する知識)
- 金融資産運用(預貯金や株式、投資信託や金融商品の運用に関する知識)
- タックスプランニング(所得税や法人税、消費税等、税関連の知識)
- 不動産(不動産取引や建築基準法、住宅や宅地に関する知識)
- 相続・事業承継(贈与や相続の法律、事業承継対策に関する知識)
お金(資金や財務)に関する科目がポイントとなる点では共通ですが、中小企業診断士とファイナンシャルプランナー(FP)の試験範囲は、一部を除き、多くの点で異なっているのです。
中小企業診断士とファイナンシャルプランナー(FP)のダブルライセンスのメリット!
今よりもステップアップする目的で、複数の資格を取得するダブルライセンスを狙う方は増えています。
転職を有利に進めるにも将来的に独立開業するにしても、ダブルライセンスはおすすめ!
この項では、中小企業診断士とFPのダブルライセンスになるメリットを解説していきます。
なぜ中小企業診断士とFPの資格の相性が良いのか、これからダブルライセンスを目指す予定の方は参考にしてみてください。
個人の顧客と企業の顧客の両方に対応できる
一般的に中小企業診断士は企業の経営者、ファイナンシャルプランナー(FP)は個人が顧客になります。
つまり、中小企業診断士とファイナンシャルプランナー(FP)のダブルライセンスになると、個人と企業の両方の顧客に対応できるようになるのが大きなメリットです。
2つの資格を活かして業務をすれば、幅広い顧客に対してコンサルティングができるでしょう。
「個人と企業、両者の財政面に関するスペシャリスト」
というポジションを確立することにより、中小企業診断士とファイナンシャルプランナー(FP)のダブルライセンス保有者はチャンスを広げられますよ。
相談業務の幅が広がってクライアントからの信頼度がアップする
上記で解説した内容と少々被りますが、中小企業診断士とファイナンシャルプランナー(FP)のダブルライセンスは相談業務の幅が広がります。
たとえば、ファイナンシャルプランナーが顧客に対し、ライフプランを提案する際、中小企業診断士として身に付けた「ロジカル思考」を利用すれば、より提案に説得力が増すでしょう。
また、ファイナンシャルプランナー(FP)で学ぶ税金や事業継承の知識を持っていれば、中小企業診断士のコンサルティングのなかでに、顧客企業にとってためになる情報を提供できることになります。
より深い知識で助言やアドバイスができるようになりますので、クライアントからの信頼度がアップしやすいのです。
クライアントからの信頼を獲得できれば、別の顧客を紹介してもらって仕事を増やすこともできるでしょう。
転職する際に有利になる
何も資格を持たない人と比べてみると、中小企業診断士FPのダブルライセンスは転職で有利になります。
以下では、中小企業診断士とFPがどのような転職先で役立つ資格なのかまとめてみました。
- 中小企業診断士は戦略系コンサルや財務コンサルなど、コンサルティング業界への転職の他、ビジネス・プロフェッショナルとして経営企画・マーケティング部門など有利になる
- ファイナンシャルプランナー(FP)は金融や不動産、保険関係の業界への転職で有利になる
2つの資格を持っているダブルライセンス者は、他者と比べてアピールポイントが増えます。
より高度な知識やスキルを持っている証明になりますので、転職市場で重宝されやすいわけです。
「転職で何か武器が欲しいな~」と考えている方は、中小企業診断士とFPのダブルライセンスを目指してみてはいかがでしょうか。
独立系FPとして働ける
一口にファイナンシャルプランナー(FP)と言っても、働き方は次の2つに大きくわけられます。
- 銀行や保険会社に雇われて仕事をする企業系FP
- 自分で独立開業して顧客を獲得し、助言やアドバイスを行う独立系FP
独立開業する独立系FPを目指すのであれば、中小企業診断士とのダブルライセンスがおすすめです。
FPの資格しか持っていない場合、個人向けの相談業務やコンサルティングが中心となり、企業へのアピール材料が不足しがちです。
しかし、同時に中小企業診断士の資格を取得してダブルライセンスになれば、企業の顧問先を獲得しやすくなります。
独立系FPを目指している方は、中小企業診断士とのダブルライセンスで仕事量が安定しやすくなることを、頭に入れておいてください。
中小企業診断士とファイナンシャルプランナー(FP)を試験の難易度で比較!
中小企業診断士とファイナンシャルプランナー(FP)の試験のどちらが難しいのか、これから取得を目指す方は気になりますよね。
そこで、以下では中小企業診断士とファイナンシャルプランナー(FP)を試験の合格率で比較してみました。
中小企業診断士の合格率は、下記のように1次試験と2次試験で違いがあります。
1次試験の年度 | 受験者数 | 合格者数 | 合格率 |
---|---|---|---|
平成25年 | 14,252人 | 3,094人 | 21.7% |
平成26年 | 13,805人 | 3,207人 | 23.2% |
平成27年 | 13,186人 | 3,426人 | 26.0% |
平成28年 | 13,605人 | 2,404人 | 17.7% |
平成29年 | 14,343人 | 3,106人 | 21.7% |
平成30年 | 16,434人 | 3,236人 | 21.7% |
2次試験の年度 | 受験者数 | 合格者数 | 合格率 |
---|---|---|---|
平成25年 | 4,907人 | 910人 | 18.5% |
平成26年 | 4,885人 | 1,185人 | 24.3% |
平成27年 | 4,941人 | 944人 | 19.1% |
平成28年 | 4,394人 | 842人 | 19.2% |
平成29年 | 4,279人 | 828人 | 19.4% |
平成30年 | 4,978人 | 905人 | 18.8% |
1次試験と2次試験を全体で計算してみると、ストレートで中小企業診断士に合格するには僅か4%~5%の狭き門を通過する必要があります。
100人中4人しか合格できないため、中小企業診断士はかなり難易度の高い資格なのです。
今度はFP2級試験の合格率のデータを見ていきます。
FP2級の試験日 | 学科試験の合格率 | 実技試験の合格率 |
---|---|---|
2017年1月 | 39.43% | 63.87% |
2017年5月 | 41.44% | 46.79% |
2017年9月 | 47.82% | 58.34% |
2018年1月 | 45.63% | 57.45% |
2018年5月 | 42.93% | 51.68% |
2018年9月 | 39.47% | 50.52% |
2019年1月 | 48.26% | 50.31% |
2019年5月 | 40.17% | 62.65% |
2019年9月 | 43.42% | 62.63% |
2020年1月 | 41.86% | 62.61% |
ファイナンシャルプランナー(FP)の2級試験も2種類の試験(学科と実技)がありますが、中小企業診断士と比べると合格率はかなり高いですね。
もちろん、中小企業診断士もファイナンシャルプランナー(FP)も簡単にクリアできる資格ではありませんので、独学ではなく通信講座の利用がおすすめです。
通信講座を利用すれば、予備校やスクールに足を運ぶ必要はありません。
自宅でスキマ時間を有効活用して学習を進めることができますので、普段のお仕事で忙しい方でも中小企業診断士とファイナンシャルプランナー(FP)のダブルライセンスを目指せます。
※中小企業診断士試験の難易度については、下記の記事も参考にしてください。
中小企業診断士とファイナンシャルプランナー(FP)のダブルライセンスは時間がかかる…
安定した仕事量を確保するために、中小企業診断士とFPのダブルライセンスは有効です。
近年では個人向けのアドバイザー業務に加えて、中小企業診断士の資格を活かして中小企業の顧客を意識して抱える独立型FPも増えています。
しかし、中小企業診断士とFPのダブルライセンスになるには、長い時間がかかるのがデメリット…。
勉強方法によって変わりますので一概には言えないものの、中小企業診断士とFPの試験に合格するまでにどのくらいの時間がかかるのか目安を見ていきましょう。
- 中小企業診断士の資格取得にかかる時間の目安は1,000時間~1,200時間
- FP2級試験に合格するまでの目安は150時間~300時間
- FP1級試験は2級にプラスして300時間の勉強が必要
働きながら資格取得を目指す方は、中々勉強時間を確保することができません。
そのため、中小企業診断士とFPのダブルライセンスは、目的が明確な人にのみ向いています。
闇雲に資格を取得する勉強に取り組むのではなく、今の自分にどの資格が必要なのかしっかりと考えてみてください。
※中小企業診断士試験の勉強時間については、下記の記事も参考にしてください。
中小企業診断士とFP 前に取る資格はどっち?
中小企業診断士とFPの資格を取得する順番は、個人の考えによって大きく変わります。
コンサルティング業務をメインでこなしていく予定の方は、先(前)に中小企業診断士の資格を取得した方が良いでしょう。
一方でFP事務所に転職して将来的に独立開業する予定など、FP業務を中心に考えているか方は、前(先)にFPの資格を取るのがベストです。
2つの資格の試験勉強を並行してこなすのは無理がありますので、まずは自分のキャリアプランに沿って目指す資格の種類を決めてください。
税理士法や社労士法の抵触にも注意!
中小企業診断士とファイナンシャルプランナー(FP)の資格を活かしてコンサルティング業務を行うに当たり、税理士法や社労士法に抵触しないように注意しましょう。
例えば、税理士の資格を持っていない方が税務代理や税務書類の作成を引き受けると税理士法違反になります。
社会保険労務士も全く一緒ですので、コンサルティング業務をメインで行う方は気をつけてください。
まとめ
独立系FPとしての活躍の場所を広げたいのであれば、FPと中小企業診断士のダブルライセンスがおすすめです。
ダブルライセンスで企業と個人の両方の顧客に対応できれば、あなたの信頼度もアップしますよ。
しかし、中小企業診断士とファイナンシャルプランナー(FP)の両方の試験に合格するに当たり、それなりに長い時間がかかると心得ておかないといけません。
資格は数が多ければ多いほど効果的という訳ではありませんので、自分の目的や将来を加味したうえで、ダブルライセンスを検討してください。