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中小企業診断士の資格の休止制度とは?
中小企業診断士の資格を維持するには、登録有効期間の5年間ごとに更新が必要です。
中小企業診断士の更新に必要な要件は次の2つで、それぞれが一体何を指しているのか見ていきましょう。
- 知識の補充:様々な団体が実施している理論政策更新研修を5年間で5回受ける
- 実務の従事:中小企業の実務を支援する何かしらの業務を行って5年間で30ポイントを獲得する
知識の補充要件と実務の従事要件を満たすことなく登録有効期間が過ぎると、資格が自動的に削除(失効)されますので気を付けないといけません。
これを回避するために、中小企業診断士の資格は休止制度が設けられています。
中小企業診断士の休止制度とは、資格の更新の特例として認められているものです。
休止の申請を、登録有効期間(5年)のうちに行うことにより、最長15年の休止期間を設けることができます。
もちろん、所定の手続きで申請をすれば、中小企業診断士の資格更新の手続きは必要ありません。
※この記事では、中小企業診断士資格の休止制度について詳しく説明します。「中小企業診断士の資格を更新する維持費を知りたい!」という方は以下をご覧ください
また、資格の更新手続きについてはこちら!
中小企業診断士を休止した場合の有効期限の例
以下では、中小企業診断士の資格を休止した場合の有効期限の例をまとめてみました。
- 2020年の3月まで有効期限が残っている中小企業診断士が休止する
- 2018年の3月に休止の申請をすると15年後の2033年3月まで資格を休止できる
- 2020年3月に再開の申請をすると、再開後の初回更新は2022年の3月に行う(休止時の有効期限の残期間が2年だったため)
中小企業診断士の資格の休止制度は、「有効期限までの時間を止める」とイメージするとわかりやすいのではないでしょうか。
中小企業診断士が資格を休止する理由
これから中小企業診断士を目指す方は、「なぜ資格を取得したのにわざわざ休止して有効期限を延ばすの?」と疑問を抱えるかもしれません。
資格の休止の理由は中小企業診断士で違いがありますが、主に実務従事のポイントを確保できないからです。
税理士や社会保険労務士などのように業界団体(中小企業診断士の場合は中小企業診断協会)の入会は義務ではありませんので、金銭(費用)が理由で休止する方はほとんどいません。
サラリーマンとして会社や企業で働きながら中小企業診断士の資格を取得した方は、独立している人と違い、中小企業の経営者と知り合いになるケースは少ないと考えられます。
自分の周りに中小企業の経営者が少ないと、資格の更新要件の5年間で30ポイントという数字は意外と大変で、ハードルが高いのです。
実務要件の中小企業に対する診断・助言の実施は1日1点で、個人的な診断に加えて下記に一覧した業務も該当します。
- 国(中小企業庁等)の委嘱を受けて行う診断助言業務や窓口相談業務
- 都道府県・政令指定市の委嘱を受けて行う診断助言業務や窓口相談業務
- 中小企業基盤整備機構の委嘱を受けて行う診断助言業務や窓口相談業務
- 商工会や商工会議所などの中小企業関係団体の委嘱を受けて行う診断助言業務や窓口相談業務
- 国際協力機構からの委託で行う中小企業の振興に関する診断助言業務や窓口相談業務
- 中小企業に勤務して経営者からの指示で行う自社に対する診断助言業務
- 金融機関や大企業で取引先等中小企業者に対して行う診断助言業
5年間で実務ポイントを獲得できなくても、中小企業診断士の休止手続きを取れば最長で15年間まで有効期限が延びます。
中小企業診断士としての活動が行えない状況が生じても、いずれは再開する予定で資格を維持できるわけですね。
中小企業診断士を休止している間も、理論政策更新研修や実務従事事業の利用で更新要件を満たすことができます。
15年も猶予がある間に、実務従事の実習や理論研修を受講してコツコツとポイントを貯めておきたいですよね。また、理論政策研修の代わりに、論文を提出して審査を受けることもできます。
しかし、相手に誤解を与えないように「中小企業診断士の資格を休止していること」などは伝えるべきでしょう。
休止中に名刺や履歴書で中小企業診断士を名乗っても良いの?
中小企業診断士の業務再開申請可能期間中は、経営診断の業務を休止している旨を相手に伝える必要があると上記では説明しました。
これは相手に誤解を与えないためですが、休止中と伝えていれば名刺や履歴書で中小企業診断士を名乗ることができます。
つまり、休止を申請した後も今までと同じ名刺を使って良いわけです。
しかし、中小企業診断士の再開申請をせずに業務再開申請可能期間を超えると登録が削除されますので、中小企業診断士だと名乗ったり名刺に記載したりできなくなります。
業務再開が申請可能な期間に関しては、休止する時に交付を受ける「業務再開の申請可能証書」に記述されています。必ず事前にチェックしておきましょう。
中小企業診断士の休止の申請や届出の方法をまとめてみた
中小企業診断士の資格を休止する申請や届出は、皆さんが想像する以上に簡単です。
まずは中小企業診断士の業務休止申請をするために、次の2つの書類を用意します。
- 中小企業の経営診断業務休止申請書
- 中小企業診断士登録証(紛失した方は中小企業診断士登録証再交付申請書の原本を添付する)
2点の書類を中小企業庁に送付するだけで、中小企業診断士の休止申請は完了です。
休止申請を行った日から15年を限度に、中小企業診断士の有効期間の時間経過を一時的に休止できます。
休止申請の受理月の2ヶ月後(翌々月)に、中小企業庁から「業務再開の申請可能証書」が自宅の住所に簡易書留郵便で届きますので、大切に保管しておきましょう。
「業務再開の申請可能証書」が無ければ、中小企業診断士の仕事を再開することができないので要注意です。
中小企業診断士の資格を休止してから再開する方法
中小企業診断士の資格の休止制度は、所定の書類を中小企業庁に送付するだけで済みます。
しかし、休止中に再開を希望する際は、更新と同じ要件が必要になりますので注意しないといけません。
中小企業診断士の業務再開要件は、申請日までの3年以内に次の要件を満たす必要があります。
- 専門知識補充要件として理論政策更新研修を5回以上修了する
- 実務要件として実務の従事や実務補習を15日以上行う
これらの要件を満たした上で、次の4つの業務再開申請の必要書類を用意すればOKです。
- 中小企業の経営診断業務再開申請書
- 中小企業の経営診断の業務再開の申請可能証書
- 理論要件の証明書(5点分以上)
- 実務要件の証明書(15点分以上)
参考:中小企業庁
ただし、中小企業診断士の再開後は初回の更新についても考えないといけません。
資格再開後の初回更新は、15点の実務ポイントの取得が必要です。
つまり、中小企業診断士を再開する予定の3年以内に理論要件5点と実務要件15点を取得し、更に初回更新分の実務ポイントを15点取得すると資格の更新ができます。
業務を再開した後、登録有効期間は休止申請を行った翌月の1日から有効期限が終了する日までになりますので、一律で5年間というわけではありません。【重要です!】
残りの期間が少ない状態で実務要件を満たせる見込みがないまま中小企業診断士の休止から再開すると、資格を更新できない恐れがありますので気を付けましょう。
まとめ
せっかく頑張って勉強して中小企業診断士のような魅力ある資格を取得したのであれば、休止せずに活用するのが望ましいですよね。
しかし、何かしらの理由で5年間の間に更新できない方もいますので、中小企業診断士の休止を申請しましょう。
中小企業庁に書類を送付して中小企業診断士の休止を申請すると、登録有効期間が最長で15年間まで延びます。
休止の後に再開して資格を更新することもできますので、中小企業診断士の資格が削除(失効)されないように注意してください。
現在はいろいろな理由で診断士活動ができないとしても、将来、活躍できる機会が来るかも知れません。
そんな時に失効してしまっていたら、公開してしまうこと間違いありません。休止や復帰について、ぜひ慎重に確認・検討してみてください。
著者情報 | |
氏名 | 西俊明 |
保有資格 | 中小企業診断士 |
所属 | 合同会社ライトサポートアンドコミュニケーション |