こんにちは、トシゾーです。
今回は、組織のソフト面である「組織のダイナミクス、組織と環境の関係」から、組織風土と組織文化について見ていきます。
組織風土が少しわかりにくいかも知れませんが、「組織文化の一歩手前」であることを意識しておくと、イメージしやすくなるでしょう。
※本項目は、中小企業診断士試験の「企業経営理論」の科目で出題される内容です。
企業経営理論の勉強法は、以下の記事を参考にしてください。

また、独学で勉強する方は、下記の記事も参考にしてください。

組織と文化【組織風土と組織文化】(組織論)
Contents
組織風土
組織風土は「組織や職場集団を全体として包み込むような環境」と位置付けることができます。
ここでいう環境とは「客観的な環境」ではありません。
組織の各メンバーが、自分を取り巻く組織をどのように認知しているか、すなわち「主観的な環境」と言えるでしょう。もちろん、その組織に参画したメンバーの誰もが「主観的な環境」を認知している、といえます。
たとえば、ある組織が、あたらしく結成されたばかりだとします。
それぞれのメンバーは、自分なりに、その組織に対する認知をしていることでしょう。
しかし、それぞれの認知のズレ(分散)には、大きなものがあるかも知れません。
しかし、時間が経ち、共に共通空間で過ごしているうちに、様々な要因により各メンバーが同じような見方をしてくるでしょう。
これが、組織風土から組織文化へと変化する、ということです。
そして、組織文化となった共通的な認知は、メンバーの行動や考え方を制約する影響力を発揮するようになるのです。
組織文化
それでは組織文化とは何でしょうか?
組織文化は、組織風土から発展したものであり、
「組織の中で、それを構成する人々の間で共有された価値や信念、あるいは、習慣となった行動が絡み合って醸し出されたシステム」
と言えます。
組織文化には、「成文化されていない」「目に見えない」、という特徴があります。
その目に見えないといった特徴のため、各メンバーが組織文化をいったん受け入れてしまえば、組織文化を意識することはなくなります。
とは言え、ライバル関係(競争的な地位)にある他の組織との比較を行わなければならない時、あるいは、危機的な状況において「組織がどうあるべきか」を考えざるを得ない時には、自らの組織文化に対して、明確に意識することになります。
また、前述のとおり組織文化が組織風土から変化してくる場合において、各メンバーの組織の認知の仕方のズレ(分散)が小さくなり、同じような見方をするようになります。
その要因としては、
「①近接性、②同質性、③相互依存性、④コミュニケーション・ネットワーク、⑤帰属意識の高揚」
などの要因があります。
言い方を変えれば、これらの要因が大きければ大きいほど、強い組織文化が作られることになります。
なお、強力な組織文化は目標達成に向けて有効に働きますが、一方で、思考様式の均質化や組織の硬直化、環境適応能力の低下に繋がることも起こり得ます。
これらは組織文化の逆機能と言われます。マイナスに働いてしまうのです。組織学習や組織開発によって組織文化の変革に努めなければならないのです。
組織開発や組織学習については、下記の記事を参考にしてください。


組織論のタネ本は、桑田耕太郎・田尾雅夫著「組織論」(有斐閣アルマ)
「組織のダイナミクス、組織と環境との関係」は、つかみどころがない
中小企業診断士試験の企業経営理論のうち、組織論の内容は、次の4つに大きく分かれます。
(1)経営組織の形態と構造 | 職能組織・事業部制など、いわゆる組織のハード構造のこと |
(2)組織構成員のレベルの組織内プロセス | 組織のソフト面のうち、個人に関係するプロセス。モチベーション理論やリーダーシップ理論など |
(3)組織のダイナミクス、組織と環境との関係 | 組織のソフト面のうち、組織全体に関わるもの |
(4)人的資源管理 | いわゆる労務管理。中小企業診断士試験では、労働基準法など法規に関する出題が多い |
これらのうち、管理人は、「(3)組織のダイナミクス、組織と環境との関係」が、もっとも苦手でした。
この(3)の具体的な内容は、下記のようなものです。
これらは、TACのスピードテキストなどの資格教本を読んでも今一つ理解できませんでしたし、過去問も、つかみどころがない印象でした。
この記事を読まれている受験生の中にも、管理人と同じような印象をお持ちの方も多いと思います。
「組織のダイナミクス、組織と環境との関係」の攻略は、桑田耕太郎・田尾雅夫著「組織論」(有斐閣アルマ)にあり
「組織のダイナミクス、組織と環境との関係」に関連する出題は、桑田耕太郎・田尾雅夫著「組織論」(有斐閣アルマ)から多く出題されています。
著者の一人・桑田耕太郎氏は中小企業診断士試験の試験委員のため、この分野の出題は、彼が任されているのでしょう。
受験時代、この本を購入して熟読した私は、「組織のダイナミクス、組織と環境との関係」の分野の苦手意識をなくすことができました。
誤解のないように言えば、この本自体も、決して分かりやすい内容ではありませんが、TACのスピードテキストなどには、この本の内容の要約しか書かれていないため、比較論で言えば、圧倒的に、原著にあたった方が理解は進みます。
なかなか理解も難しいため、私の場合は、三度通読して、なんとか「分かった気がする」レベルになった、という状況でした。
時間的には、かなり費やしてしまいましたが、「どうしても組織論が苦手だ」という方は、こちらの原著にチャレンジしてみる価値はあると思います。
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