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中小企業診断士と公認会計士の業務内容の違い
こんにちは、トシゾーです。
今回は、中小企業診断士と公認会計士のダブルライセンスについて、考えてみたいと思います。
士業の中でも、中小企業診断士と公認会計士は人気の資格です。特に公認会計士は、医師や弁護士と並んで「三大国家資格」と呼ばれたりしますね。
どちらも難易度が高いですが、その分、就職・転職活動でアピールしたり独立開業したりするに当たって役立ちます。
まずは中小企業診断士と公認会計士の業務内容の違いから見ていきましょう。
- 中小企業診断士は中小企業の経営に関する相談の対応やアドバイスをクライアントに提供する
- 公認会計士は企業の会計監査や財務状況のチェック、コンサルタントがメインの業務
以上のように、業務内容は異なるものの、どちらの資格も、顧客やクライアントの依頼を受けて業務を提供し、様々な面から企業活動をバックアップします。
そのため、顧客や企業からは、非常に頼りにされる存在です。
結論:中小企業診断士と公認会計士のダブルライセンスはおすすめ! ただし、向かないケースもある!
いきなり結論ですが、中小企業診断士と公認会計士のダブルライセンスは相乗効果や付加価値が高く、一般論としては、おすすめです。
ただし、両資格の難易度・合格までに必要な勉強時間・受験者の状況などを考慮すると、「一概に、すべての人に向くとは言えない」という結論になります。
以上のことを詳しく説明するため、まずは両資格の難易度から見て行きましょう。
中小企業診断士と公認会計士の資格を試験の難易度で比較
中小企業診断士と公認会計士のダブルライセンスを考えるに当たり、資格試験の難易度は気になるところですよね。
試験の難易度をはかる1つの指標として、両試験の合格率をチェックしてみましょう。
中小企業診断士の合格率 | 1次試験と2次試験を合わせると4%~5%程度 |
公認会計士の合格率 | 10~11%程度 |
合格率だけみると、中小企業診断士の方が低いですが、実際は、中小企業診断士よりも公認会計士の方が遥かに難しい資格になっています。
前述のとおり「三大国家資格」と言われるほど、公認会計士試験は国家資格試験の中でも最上級のもので、ちょっとした勉強で取得できるものではありません。
とはいえ、中小企業診断士も合格率の低さから分かるとおり、かなり難易度が高いと心得ておかないといけません。
※中小企業診断士の難易度については、下記の記事も参考にしてください。
中小企業診断士と公認会計士を資格取得までの勉強時間で比較
今までのスキルや学習法によって変わりますが、中小企業診断士と公認会計士は資格取得までにかかる勉強時間に違いがあります。
以下では、中小企業診断士と公認会計士を資格取得の勉強時間で比較してみました。
- 中小企業診断士の試験に合格するまでは1,000~1,200時間程度の勉強が必要
- 公認会計士の試験に合格するまでには3,000時間~3,500時間の勉強が必要
このように、中小企業診断士と比べ、公認会計士は3倍以上の勉強時間を費やさないといけません。
公認会計士の試験の方が遥かに難易度が高いわけです。
※中小企業診断士試験の勉強時間については、下記の記事も参考にしてみてください。
中小企業診断士と公認会計士の試験を受験者層で比較
中小企業診断士の受験者層でもっとも多いのは、30~40代のビジネスマンです。企業での仕事を一通り覚え、さらにステップアップ・キャリアアップを目指している層といえるでしょう。
中小企業診断士試験はビジネス領域全般から出題されますから、社会人の方が対処しやすいということもありますし、現実問題として、働きながら合格を目指せるのは、1,000時間程度で取れる資格まで、という考え方もあります。
※この考え方でいくと、働きながら目指せるのは、中小企業診断士の他、行政書士・社労士ぐらいまでが現実的となります。
一方の公認会計士ですが、こちらの受験者でもっとも多いのが20代~30代と、中小企業診断士と比べて若年層が中心となっています。さらに公認会計士受験者には、大学生や受験勉強に専念する方も多く、多大な時間を使って公認会計士に合格するわけです。
そして、公認会計士に合格した若年層の多くは、まずは監査法人の入社を目指します。後々独立するにしても、まずは公認会計士の独占業務である「監査業務」を実践することが重要だからです。
若年層が公認会計士となり、その後、中小企業診断士取得を目指すのは有望
中小企業診断士と公認会計士の受験者層の違いから、ダブルライセンスが向く人・向かない人が明らかになります。
まず、学生や受験専念者が長時間かけて公認会計士になった後、公認会計士の仕事をしながら、中小企業診断士を目指すのは、現実的ですし、おすすめです。
独占業務の「監査業務」だけでなく、経営コンサルティング能力を磨くことで、様々な企業案件に対応できます。中小企業診断士は、働きながらでも最短1年程度で取得できますから、さらなるキャリアアップに適しています。
先に中小企業診断士を取り、その後、公認会計士を目指す人は少数派
一方、中小企業診断士の受験者層は30~40代のビジネスマンが中心でした。彼らは企業で働きながら、専門能力を磨くために中小企業診断士を狙います。
合格後は、従来から務めている企業で能力を活かしたり、転職したり、独立したりと様々なルートがあります。しかし、その時点から、さらに働きながら公認会計士を目指すのは現実的ではないでしょう。
もちろん、大学生などの若手のなかには、将来を見据えて「中小企業診断士と公認会計士、両方取ろう」と考えている人もいるかも知れません。そのような場合は、ぜひダブルライセンスを目指して欲しいと思います。
中小企業診断士と公認会計士のダブルライセンスのメリット
ここからは、中小企業診断士と公認会計士のダブルライセンスのメリットについて、より詳しく解説していきます。
お互いの資格の能力を補うことができる
中小企業診断士と公認会計士のダブルライセンスのメリットは、お互いの資格の能力を補えるところです。
中小企業診断士と公認会計士は、下記のように得意分野と不得意分野があります。
<中小企業診断士>
得意分野:メインの業務がコンサルティングであり、戦略立案や組織運営、オペレーションなどの実務に強い
不得意分野:財務分析や数字の管理については、会計士や税理士ほどには強くない
<公認会計士>
得意分野:経理・財務データを分析し、改善案を策定する監査や税務に圧倒的に強い
不得意分野:戦略・組織・オペレーションなどの実務は学んでいない
つまり、中小企業診断士と公認会計士のダブルライセンスがあれば、財務面と経営面(実務面)の両方の視点から企業活動をサポートできるわけです。
公認会計士としてのスキルを活かして財務データの数字を分析して問題点を把握し、中小企業診断士の問題解決能力を活かせばより高度なレベルで経営のアドバイスができるようになりますよ。
企業の経営者も安心して相談できるようになりますので、顧客やクライアントの満足度が高まるのは間違いありません。
経営コンサルタントとしての活躍の場所を広げられる
中小企業診断士も公認会計士も、普段の業務でコンサルティングを行うことがあります。
例えば、公認会計士が行うコンサルティング業務は次の3つが代表的です。
- 財務諸表作成を適正にかつ効率的に行うために支援する会計アドバイザリー業務
- 企業同士の合併や組織再編が行われる場合に支援するM&Aアドバイザリー業務
- 経営状況の悪化した企業に対して再生を図る支援を行う事業再生アドバイザリー業務
もし中小企業診断士の資格も取得してダブルライセンスになっていれば、経営コンサルタントとしての活躍の場所を広げられます。
中小企業診断士の経営面に関する深い知識は、公認会計士のコンサルタント業務にも役立つわけです。
科目免除制度を受けられる
科目免除制度を受けられるのは、中小企業診断士と公認会計士のダブルライセンスのメリット。
中小企業診断士の試験を受けるに当たり、次の資格保有者は一部の科目の免除申請ができます。
- 経済学・経済政策:「大学等の経済教授」「准・旧助(通算3年以上)」「経済学博士」「公認会計士試験合格」「不動産鑑定士」
- 財務・会計:「公認会計士」「公認会計士試験合格者」「税理士」「会計士補となる有資格者」
- 経営法務:「弁護士」「司法試験合格者」「旧司法試験第2次試験合格者」
- 経営情報システム:「技術士(情報工学部門登録者に限る)」「情報工学部門に係る技術士となる資格を有する者」
公認会計士の資格を持つ方は、中小企業診断士の「経済学・経済政策」と「財務・会計」の試験科目が免除される仕組みです。
試験免除の特例措置を受ければ、できる限り勉強時間を短縮してダブルライセンスを目指せるでしょう。
※中小企業診断士試験の科目免除について詳しくは、下記の記事も参考にしてください。
独立開業で役立つ
中小企業診断士と公認会計士のダブルライセンスは、独立開業で役立てることができます。
実際のところ、中小企業診断士の資格を取得するだけで独立開業してすぐに稼ぐのは難しいのが現状です。
他の士業の資格とは違い、中小企業診断士には資格保有者しかできない独占業務がありません。
そのため、中小企業診断士の資格を取得する方の多くは、就職や転職で活かす形になります。
しかし、中小企業診断士に加えて公認会計士の資格も同時に持っていれば、独立開業して他の士業と差別化を図れるのがメリットです。
中小企業診断士と公認会計士のダブルライセンスになり、公的機関のコンサルタントの仕事をこなしたり人脈ネットワークを広げたりすれば、独立開業の成功率をグンと高められるでしょう。
難関資格試験に合格するための、戦略的勉強法
難関資格試験に合格するためには、1年どころか、複数年必要なものも珍しくありません。
また、働きながら資格取得を目指す方も多く、
「長期間、かつ、思うように時間の取れないなかで、どのように勉強するのか?」
という勉強の方法論が合否の結果に大きく影響するのは間違いありません。
ここでは、
「できるだけ効率的に、効果の上がる勉強法を実践して短期合格を目指す」
という考え方をベースにした、戦略的勉強法について説明します。
ゴールから逆算したスケジュールを計画する
前述のとおり、難関資格試験に合格するためには、長期間の勉強が必要です。
必ずゴールから逆算した勉強スケジュールを計画しましょう。
「ゴールから逆算」というのは「スケジュール通り勉強すれば、合格レベルの知識が身に付いた状態になる」ということです。
常に全体の流れから遅れていないか、チェックしながら勉強を進めることが大切です。
合格ライン+10%の基本事項・頻出事項に絞る
「ゴールから逆算」という話をしたばかりですが、難関資格試験の対策において、ゴールというのは満点を取ることではありません。
もっとも効率的に合格するという観点からは、合格ライン+10%を確実に得点する戦略を実行すべきです。
満点を取る必要はなく、基本事項や頻出事項に絞り、確実に得点しなければならない部分、捨ててもよい部分などを明確に意識して、勉強を進めていきましょう。
過去問を徹底活用する
難関資格試験において、過去問の対策は非常に重要です。
テキストの1周目はざっと読み、2周目からはテキストを少し進めたら、そのたびに必ず過去問に挑戦しましょう。
なにより過去問を解いていくことで、自分の理解が足りない部分が明らかになります。
また、テキストだけをじっと読み続けても、なかなか頭に入らないもの。
テキスト→過去問→テキスト→過去問・・・この繰り返しこそが、合格への王道だと心得てください。
具体的には、以下の要領で進めてください。
①テキストをざっと読む(1周目)→全体像をつかむ
まずは、テキストをざっと読みます。
いわゆる1周目、というやつですね。この目的は、出題分野の全体像をつかむこと。
分からないことがあっても、とにかく短時間でテキスト一冊読み終えましょう。
②テキストを1単元ずつ読み、その単元に関係する過去問をやる
テキストの2周目です。
今回は1周目よりも少し丁寧に読みます。そして一単元を読み終わったら、関連する過去問を解きます。
そのため、「年度別過去問題集」よりも「論点別(テーマ別)過去問題集」を使うことをおすすめします。
一般的には、過去5~10年分ぐらいのものがおすすめです。
③間違えた問題などに印をつけ、テキストの関連部分を読み込む
問題を解いた際、「自信を持って正解した問題」「迷ったけど正解した問題」「間違えた問題」などが出てくると思います。ここで
・正解したけれど自信がなかった問題 → △
・間違えた問題 → ×
というように印をつけ、それらについてはテキストの関連部分を読み込むようにします。
④過去問を一通り終わったら、×と△だけ繰り返す
以上のような進め方で、テキストと問題集を終わらせます。
その後、今度は過去問題集だけ使って、冒頭から×と△の問題だけを解くようにします。
⑤×と△がなくなるまで、何度も繰り返す
×と△がなくなるまで、過去問を何周も繰り返します。
以上のような流れで取り組めば、理解が足りないところだけを効率的かつ確実に仕上げることができます。
まとめ
中小企業診断士と公認会計士の業務内容や試験の違い、ダブルライセンスのメリットについておわかり頂けましたか?
「関連する資格ではないのでは?」とイメージしている方はいますが、中小企業診断士と公認会計士のダブルライセンスになるとお互いの資格の能力を活かしてコンサルティング業務で役立てられます。
特に若手の方で先に公認会計士の資格を取得された方は、中小企業診断士とのダブルライセンスも検討してみてください。
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