中小企業診断士と公認会計士のダブルライセンスはおすすめ?仕事内容や試験の難易度・勉強時間を徹底解説!

中小企業診断士と公認会計士のダブルライセンス

※本記事はW資格を検討する方向けの解説です。合格率や試験制度は年により変わるため、出願前に各資格の公式情報で最新をご確認ください。

公認会計士と中小企業診断士、両方取る価値はあるのか――。この記事をひらいたあなたは、たぶんそこで一度立ち止まっていますよね。

先に結論からお伝えします。

  • 相性はとても良いです。公認会計士の「財務・会計」の強みと、中小企業診断士の「経営・戦略」の視点は、ちょうど足りない部分を補い合います。診断士の財務会計や2次の事例Ⅳとも親和性が高い組み合わせです。
  • 基本はおすすめできますが、向き不向きはあります。どちらも難易度が高く、勉強時間も重いからです。
  • 順番は「先に公認会計士 → あとで中小企業診断士」が現実的です。理由は後ほど、科目免除のところで具体的に説明します。

ひとつだけ先に整理しておきます。中小企業診断士は「名称独占(に準ずる)」の資格で、独占業務はありません。一方の公認会計士は「財務諸表監査」という独占業務(法定監査)を持っています。この違いが、ダブルライセンスの強みを考えるうえでの土台になります。

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目次

公認会計士と中小企業診断士のダブルライセンスはおすすめ?まず結論(相性・どちらが先か)

公認会計士と中小企業診断士は、一見すると別ジャンルの資格に見えます。でも実務では、驚くほど噛み合います。

公認会計士は会計監査や財務のプロ。中小企業診断士は経営の診断・改善のプロです。会社を「数字の面」から見る人と、「経営の面」から見る人。この両方の目を一人で持てるのが、ダブルライセンスの最大の価値です。

だからこそ、私はこの組み合わせを基本的にはおすすめしています。ただし、すべての人に向くわけではありません。判断のポイントを3つにまとめます。

  • 相性:◎。財務に強い会計士が、経営戦略・組織・マーケティングまで語れるようになります。逆に、診断士が苦手にしがちな財務分析を、会計士の知識でカバーできます。
  • おすすめ度:基本は高い。ただし両資格とも難関で、特に公認会計士は学習量が大きいので「向き不向き」が出ます。
  • 順番:先に公認会計士、あとで中小企業診断士、が現実的です。会計士に合格していると診断士の1次で科目免除が使えるため、負担を抑えてW資格に届きやすくなります。

逆に言うと、すでに社会人として働きながら、いまから両方をゼロから狙うのは、かなりハードな道です。特に公認会計士の勉強時間の重さがネックになります。

「自分はどちらに当てはまるのか」を、このあと仕事内容・難易度・勉強時間・科目免除の順に見ながら、一緒に確かめていきましょう。

公認会計士と中小企業診断士の仕事内容・業務範囲の違い(独占業務で比較)

まずは、ふたつの資格が「何をする仕事なのか」を押さえておきましょう。ここがあいまいだと、ダブルライセンスの強みも見えてきません。

ざっくり整理すると、こうなります。

  • 中小企業診断士は、中小企業の経営に関する相談に対応し、アドバイスをクライアントに提供する
  • 公認会計士は、企業の会計監査や財務状況のチェックを行い、コンサルティングも手がける

業務内容は異なりますが、どちらも顧客や企業の依頼を受けて、さまざまな面から企業活動をバックアップする点は共通しています。だからこそ、顧客や経営者から頼りにされる存在になれます。

ここで大事なのが「独占業務があるかどうか」の違いです。

中小企業診断士の業務=経営コンサルティング(名称独占に準ずる・独占業務はない)

中小企業診断士は、現行制度では独占業務を持たない国家資格です。「名称独占(に準ずる)」資格と言われ、資格がなくても経営コンサルティング業務そのものは行えます。

「じゃあ資格を取る意味がないの?」と思うかもしれませんが、そうではありません。国が認める経営の専門家という肩書きは、信頼の裏づけになります。公的な支援機関の仕事や、金融機関とのやり取りでも武器になります。

公認会計士の業務=財務諸表監査が独占業務+会計アドバイザリー等のコンサル

一方の公認会計士には、はっきりとした独占業務があります。それが「財務諸表監査(法定監査)」です。これは公認会計士にしかできない、法律で定められた仕事です。

加えて、公認会計士はコンサルティング業務も行います。代表的なのは次の3つです。

  • 適切でスピーディな財務諸表作成を支援する会計アドバイザリー業務
  • 企業同士の合併や組織再編を支援するM&Aアドバイザリー業務
  • 経営状況が悪化した企業の再生を支援する事業再生アドバイザリー業務

つまり、公認会計士は「財務諸表監査という独占業務」を軸に持ちつつ、コンサルの領域にも踏み込んでいる、という整理になります。ここに中小企業診断士の経営知識が加われば、対応できる仕事の幅はぐっと広がります。

公認会計士と中小企業診断士はどちらが難しい?試験難易度・合格率で比較

ダブルライセンスを考えるとき、いちばん気になるのが「結局どっちが難しいの?」という点ですよね。

難易度をはかる目安のひとつが合格率です。両試験の合格率を見比べてみましょう。

合格率の比較(いずれも年により変動・レンジで把握)

資格 合格率の目安(年により変動)
中小企業診断士の合格率 1次・2次をストレートで通すとおおむね4〜7%程度(1次は20〜40%前後、2次は18〜19%前後で年により変動)
公認会計士の合格率 最終合格率はおおむね7〜10%程度(年により変動)

合格率の数字だけを見ると、診断士のほうが低く見えるかもしれません。でも、ここで早合点しないでください。

範囲と所要時間まで見ると公認会計士の負荷が大きい(傾向)

公認会計士は、医師・弁護士などと並んで「三大国家資格」と呼ばれることもある、最難関クラスの試験です。短答式・論文式という長い道のりを越え、合格後も実務を積んで登録に至ります。学習量・競争の厳しさの両面で、総じて負荷が大きいのが実情です。

中小企業診断士も、合格率の低さからわかるとおり、けっして簡単ではありません。ただ、出題範囲こそ広いものの、働きながら現実的に狙える資格、という位置づけです。

合格率という一点だけでなく、範囲の広さと必要な勉強時間まで含めて見ると、「総合的な負荷は公認会計士のほうが重い」というのが、おおまかな傾向です。

なお「米国公認会計士(USCPA)とどちらが難しいか」という比較もよく聞かれますが、これは試験の性質も目的も別物なので、一概には言えません。英語で受ける会計の試験という特徴があり、目指すキャリアによって向き不向きが分かれます。

診断士の難易度をもう少し詳しく知りたい方は、こちらの記事もどうぞ。

中小企業診断士の偏差値は?62〜64と言われる理由と難易度の正体(1次・2次)

公認会計士と中小企業診断士の勉強時間の目安(どれくらいかかる?)

次に、合格までにどれくらいの勉強時間がかかるのかを見ていきます。ここは順番を決めるうえでも大事なポイントです。

これまでの学習経験や得意分野によって変わりますが、目安は次のとおりです。

  • 中小企業診断士の合格までは1,000〜1,200時間程度が目安
  • 公認会計士の合格までは3,000〜3,500時間程度が目安

あくまで目安ですが、公認会計士は診断士の3倍前後の勉強時間が必要になる計算です。試験としての重さの違いが、ここにもあらわれています。

この差は、受験者層にも表れます。中小企業診断士は30〜40代の社会人が中心で、働きながら専門能力を高めるために挑む人が多い資格です。これは、働きながら現実的に狙えるのが1,000時間前後の資格まで、という見方ともつながります。同じ感覚で挑みやすいのは、診断士のほか行政書士や社会保険労務士あたり、というのが目安です。

一方の公認会計士は20〜30代が中心で、大学生や受験に専念する人も多くいます。多くの時間を投じて合格を目指す試験だからこそ、若いうちに腰を据えて取り組む人が多いわけです。

だから「先に会計士、あとで診断士」が現実的、という話につながっていきます。会計士に合格してから診断士を狙う場合、得意な財務・会計まわりは免除を活用しつつ、それ以外の科目を重点的に補強すれば効率よく進められます。

科目別の勉強時間の配分を知りたい方は、こちらが参考になります。

中小企業診断士の科目別 勉強時間の目安|一次7科目の配分表と優先順位

公認会計士は中小企業診断士の科目免除を申請できる?(経済学・財務会計)

「先に会計士が有利」と言ってきた最大の理由が、この科目免除です。ここはダブルライセンスを目指すうえで、いちばんおいしいポイントです。

中小企業診断士の1次試験では、特定の資格を持っている人が、一部の科目の免除を申請できます。免除の対象は次のとおりです。

  • 経済学・経済政策:「大学等の経済学の教授」「准教授・旧助教授(通算3年以上)」「経済学の博士」「公認会計士試験合格者」「不動産鑑定士」など
  • 財務・会計:「公認会計士」「公認会計士試験合格者」「税理士」「会計士補となる有資格者」など
  • 経営法務:「弁護士」「司法試験合格者」「旧司法試験第2次試験合格者」など
  • 経営情報システム:「技術士(情報工学部門の登録者に限る)」など
参考:1次試験受験案内

公認会計士が免除を受けられる科目(経済学・経済政策/財務・会計)

公認会計士の資格を持つ方は、中小企業診断士1次の「経済学・経済政策」と「財務・会計」が免除の対象になります。

財務・会計はまさに会計士の本領ですし、経済学も会計士試験で扱う領域と重なります。つまり、会計士なら得意な科目をまるごと免除してもらえる、というわけです。

免除を使ったダブルライセンス取得の進め方(先に会計士が有利な理由)

この免除があるからこそ、「先に公認会計士 → あとで中小企業診断士」が効率的なのです。

1次の7科目のうち2科目を免除できれば、残りの科目に集中できます。できる限り勉強時間を短縮して、ダブルライセンスに近づけます。

ただし、免除の対象や手続きは年によって変わることがあります。実際に申請する前には、最新の受験案内で必ず確認してください。

科目免除のしくみをもっと詳しく知りたい方は、こちらの記事で整理しています。

中小企業診断士 一次試験の免除(科目免除)|対象資格・科目合格・Web申請手続きを完全整理【最新版】

公認会計士と中小企業診断士のダブルライセンスのメリット(財務×経営のシナジー)

ここからは、ダブルライセンスで具体的に何が広がるのかを見ていきます。メリットは大きく3つです。

お互いの資格の能力を補える(財務×経営の両視点)

中小企業診断士と公認会計士には、それぞれ得意・不得意があります。

<中小企業診断士> 得意:戦略立案・組織運営・オペレーションなど、経営の実務に強い 不得意:財務分析や数字の管理は、会計士や税理士ほどではない

<公認会計士> 得意:経理・財務データの分析や、監査・税務に圧倒的に強い 不得意:戦略・組織・オペレーションなどの実務は、専門的には学んでいない

ふたつを掛け合わせると、財務面と経営面の両方から企業をサポートできます。財務データの数字で問題点を見つけ、経営の視点で改善策まで提案する。経営者からすれば、これほど心強い相手はいません。

経営コンサルタントとしての活躍の場が広がる

会計士も診断士も、普段の仕事でコンサルティングに関わります。会計士の会計アドバイザリー・M&A・事業再生の支援に、診断士の経営の知識が加われば、提案できる引き出しが増えます。

「数字だけ」「経営論だけ」で終わらない。両輪で語れることが、コンサルタントとしての差別化になります。

独立開業で差別化できる(名称独占の診断士+業務独占の会計士)

先ほどお伝えしたとおり、中小企業診断士は名称独占(に準ずる)の資格で、独占業務はありません。そのため、診断士の資格だけで独立してすぐに稼ぐのは、正直むずかしいのが現実です。

ですが、公認会計士の「財務諸表監査」という独占業務と組み合わせれば、話は変わります。独占業務を土台にしながら、経営コンサルの幅も打ち出せる。他の士業との差別化がはっきりします。公的機関のコンサル案件や人脈づくりも活かしながら、独立開業の成功率を高めやすくなります。

公認会計士×中小企業診断士が向く人・向かない人(年収・キャリアの傾向)

ここまでの内容をふまえて、このダブルライセンスが「向く人」と「向かない人」を整理しておきます。

向いている人(先に公認会計士→中小企業診断士でコンサル領域を拡張)

いちばん相性が良いのは、若いうちに公認会計士になった人です。

学生や若手のうちに公認会計士に合格し、まずは監査法人で独占業務の「監査」を経験する。その後、働きながら中小企業診断士を目指して経営コンサルの領域へ広げていく。中小企業診断士は働きながらでも最短1年程度で狙えるので、キャリアの上積みに向いています。免除も使えるため、会計士からの挑戦はとても現実的です。

財務に強みを持ちつつ、経営の提案力も足して独立で差別化したい会計士にも、ぴったりの組み合わせです。

向かない人・注意点(働きながら短期で両方は負荷が大きい)

一方で、慎重に考えたほうがいいのは、すでに社会人として働きながら、短期間で両方をゼロから取ろうとするケースです。

公認会計士は3,000時間超が目安の試験です。働きながら、しかも診断士と並行して、というのは負荷が大きすぎます。先に診断士を取った30〜40代の方が、そこから会計士も、というルートは少数派なのが実情です。

年収やキャリアへの影響についても、現実的に見ておきましょう。ダブルライセンスは、それだけで年収が跳ね上がる「魔法の資格」ではありません。年収は、資格の名前そのものよりも、実務経験と「何を提供できるか」で決まります。

ただ、財務×経営の両方を語れる人材は希少です。対応できる仕事の幅が広がり、独立や単価アップの選択肢が増えやすい、という傾向はあります。「中小企業診断士は役に立たない」と言われることもありますが、それは資格を取って満足してしまった場合の話。会計士の専門性と掛け合わせて使いこなせる人にとっては、十分に武器になります。

公認会計士と中小企業診断士のよくある質問(Q&A)

最後に、よく寄せられる質問にまとめてお答えします。

Q1. 公認会計士と中小企業診断士はどちらが難しい?

合格率はどちらも年によって変動しますが、出題範囲の広さと必要な勉強時間まで含めると、公認会計士のほうが総合的な負荷は大きい傾向です。会計士は3,000時間超、診断士は1,000時間前後が目安です。

Q2. どちらを先に取るべき?

「先に公認会計士 → あとで中小企業診断士」が現実的です。会計士に合格していると診断士1次の「経済学・経済政策」「財務・会計」が免除になり、負担を抑えられるからです。社会人で先に診断士を取った方が会計士も、という順番は、勉強時間の面でハードルが高めです。

Q3. 公認会計士は中小企業診断士の科目免除を申請できる?

はい。公認会計士は、中小企業診断士1次の「経済学・経済政策」と「財務・会計」が免除対象です。ただし対象や手続きは変わることがあるので、申請前に最新の受験案内で確認してください。

Q4. ダブルライセンスの年収は上がる?

資格名だけで年収が決まるわけではありません。とはいえ、財務と経営の両方を扱える人は希少で、対応できる仕事や独立・単価の選択肢が増えやすい傾向があります。具体的な金額は、勤務先・経験・営業力によって大きく変わります。

まとめ|公認会計士×中小企業診断士は財務×経営で武器が増える

公認会計士と中小企業診断士のダブルライセンスについて、要点を振り返ります。

  • 相性は◎。財務(会計士)×経営(診断士)でお互いの弱点を補い合える
  • 基本はおすすめだが、難易度と勉強時間が重く、向き不向きはある
  • 順番は「先に公認会計士 → あとで中小企業診断士」が現実的
  • 会計士なら診断士1次の「経済学・経済政策」「財務・会計」が免除になる
  • 診断士は名称独占(に準ずる)、会計士は財務諸表監査の業務独占。両方を持つと独立でも差別化しやすい

大事なのは、資格を増やすこと自体を目的にしないことです。「誰に、何を提供したいのか」を先に決めて、そのために両資格をどう使うかを考える。そうすれば、財務と経営の両輪が、あなたのキャリアの確かな武器になります。

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この記事を書いた人

西俊明(トシゾー)のアバター 西俊明(トシゾー) 中小企業診断士/AI実践戦略士/IT講師・著者

中小企業診断士/AI実践戦略士(商標出願中)/IT講師・著者。富士通で17年間、IT製品の営業・マーケティングに従事した後、独立。中小企業を中心に270社超を支援し、研修・セミナーへの登壇は250回を超える。現在は、生成AI・ITを経営や業務に生かす実践的な方法と、ITパスポート、情報セキュリティマネジメント、基本情報技術者試験などの学習法・過去問解説を発信している。著書に『改訂7版 ITパスポート最速合格術』など。

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