中小企業診断士一次試験の経営情報システムは、苦手な方と得意な方の両極端に分かれる科目です。
この科目はまた、試験の難易度が年度によって大きく異なる、という特徴もあります。
そのため、経営情報システムの科目が不得意な方が、運悪く難易度の高い年度に受験してしまうと、40点以下の足切り点を取ってしまいかねません。
そこで、通常の学習をきちんと行うのはもちろんのこと、1点でも多く得点を積み上げるための対策として、毎年何問か必ず出題される「最新ITトレンド用語(時事用語)」が予想できると嬉しいですよね。
この記事では、来年以降の経営情報システムの問題に出題されそうな最新ITトレンド用語(時事用語)を 私のほうでお伝えします。
かなり自信を持っていますので、ぜひ参考にしてください。
【ご参考】
※本項目は、中小企業診断士試験の「経営情報システム」の科目で出題される内容です。
経営情報システムの勉強法は、以下の記事を参考にしてください。
また、独学で勉強する方は、下記の記事も参考にしてください。
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目次
経営情報システムで出題されるITトレンド用語(時事用語)を知っておくべき理由
ITトレンド用語(時事用語)は、概要を知っているだけで判断できるものが多い
難しい問題の多い経営情報システムですが、こと、最新のITトレンド用語(時事用語)に関しては、難易度の低い出題も多くあります。
たとえば、平成29年試験の第8問・選択肢アを見てみましょう。
AR(拡張現実)とは人工知能技術を指し、これをWebサイトに組み込むことにができれば、顧客がWebサイトを通じて商品を購入する場合などの入力支援が可能となる。
この選択肢では、ARと人工知能(AI)それぞれの概要を知っていれば、適切ではないことは明らかです。
概要を知っておくだけで選択肢を絞れるのですから、出題されそうな用語についてチェックしておくのは、かなり効果の高い試験対策になります。
どうやって、経営情報システムで出題されるITトレンド用語(時事用語)を予想するのか?
ITパスポートの試験範囲に追加された、第4次産業革命に関する新技術の用語をチェック
「予想」というと、なんとなくスゴそうですが、実はタネ明かしをすると、
ITパスポート試験の試験範囲に、最新ITトレンド用語が多く追加されたので、それらの用語に注目する
ということです。
ですので、「予想」というより、「ちょっと目をつけた」ぐらいの表現が正しいかも知れません(汗)
ご存じの方も多いと思いますが、ITパスポート試験は、国家試験である情報処理技術者試験の1つであり、以下のように位置付けられています。
ITを利活用するすべての社会人・学生が備えておくべきITに関する基礎的な知識が証明できる国家試験
また、ITパスポート試験と経営情報システムの試験内容は、内容・難易度とも、類似した点が多くあります。
そんなITパスポート試験について、以下のようなプレス発表がされました。
※文中の「iパス」とは、ITパスポート試験の略称です。
プレス発表 第4次産業革命に対応したITパスポート試験の改訂(iパス4.0)
~ 全ての社会人に必要な第4次産業革命に関連した新技術等の出題を強化~
<中略>
近年のAI、ビッグデータ、IoTをはじめとするデータ利活用に関連する新技術の進展は、第4次産業革命とも呼ばれ、わが国の経済社会に大きな変革をもたらしています。このような状況下で、新技術によって創出された新たな製品やサービス等を効果的に活用するためには、社会人全体の基礎力として、従来以上にITリテラシーに関する幅広い知識を身に付けることが求められています。
また、政府の「未来投資戦略2018」(平成30年6月15日閣議決定)においても、全ての社会人が持つべき「IT リテラシー」についての基準を策定するとともに、「IT リテラシー」を認定するためにiパスを拡充し、企業の採用選考や従業員の処遇においてAI・IT 等に関する能力の反映を促すことが示されています。
このような状況を踏まえ、iパスの出題範囲、シラバスなどの見直し及び新技術に対応した出題の強化を実施することとしました。
具体的な見直しの内容は以下のとおりです。
<中略>
〔追加する主な項目・用語例〕
○新しい技術や手法
AI(ニューラルネットワーク、ディープラーニング、機械学習ほか)、フィンテック(FinTech)、仮想通貨、ドローン、コネクテッドカー、RPA(Robotic Process Automation)、シェアリングエコノミー、データサイエンス、アジャイル(XP((エクストリームプログラミング))、ペアプログラミングほか)、DevOps、チャットボット、IoTデバイス(センサー、アクチュエーターほか)、5G、IoTネットワーク(LPWA((Low Power Wide Area))、エッジコンピューティングほか)など
○情報セキュリティ分野
サイバーセキュリティ経営ガイドライン、不正のトライアングル、DLP(Data Loss revention)、ブロックチェーン、多要素認証、IoTセキュリティガイドラインなど
以上のように、様々な最新技術用語がITパスポート試験範囲に追加されたのですが、その用語のすべては、ITパスポートのシラバス最新版である「シラバス4.0」に記載されています。
実は、シラバス4.0から追加された用語のなかには、すでに、経営情報システムのH30年度やH29年度試験に出題されたものもあります。
このような共通点があるのは、ただの偶然でしょうか?
私はそうは思いません。
ご存じの方も多いと思いますが、情報処理技術者試験と中小企業診断士試験、大元の管轄はどちらも経済産業省です。
そのため、
ITパスポート試験と経営情報システムの科目、共通する方向性のもとで試験運営されている
と私は考えています(これは、まったくの個人的見解です)。
以下、シラバス4.0から追加された新用語例を見ていきましょう。
<追記>
ITパスポートのシラバスは2023年1月現在、V6.0が最新となっています。
当記事の続報にあたる「経営情報システムで出題される最新のITトレンド用語(時事用語)をITパスポート試験のシラバス5.0/6.0から予想する」記事において、V5.0やV6.0から追加された用語に言及しています。合わせてチェックしてみてください。
ITパスポート試験のシラバス4.0に追加された用語例 一覧
ITパスポートの分類ごとに、シラバス4.0から追加された用語をチェックしていきます。
最新ITトレンド用語以外にも、セキュリティ関連用語なども多く追加されています。セキュリティの新用語も、今後、経営情報システムに出題される可能性は高い、と思っています。
かなり多くの用語がありますので、特に出題される可能性が高い用語、および、すでに出題された用語については赤字にしましたので、優先的にチェックしてください。
ストラテジ分野
企業と法務
企業活動
e-ラーニング、アダプティブラーニング、HR テック(HRTech)
法務
アクティベーション、サブスクリプション、個人情報取扱事業者、個人情報保護委員会、要配慮個人情報、匿名加工情報、マイナンバー法、特定電子メール法、不正指令電磁的記録に関する罪(ウイルス作成罪)、サイバーセキュリティ経営ガイドライン、中小企業の情報セキュリティ対策ガイドライン、資金決済法、金融商品取引法、リサイクル法
経営戦略
経営戦略マネジメント
カニバリゼーション、プル戦略、Web マーケティング
技術戦略マネジメント
オープンイノベーション、死の谷、ダーウィンの海、ハッカソン、キャズム、イノベーションのジレンマ、デザイン思考、ビジネスモデルキャンバス、リーンスタートアップ、API エコノミー
ビジネスインダストリ
ニューラルネットワーク、ディープラーニング、機械学習、リーン生産方式、かんばん方式、フィンテック(FinTech)、仮想通貨、IoT、ドローン、コネクテッドカー、自動運転、ワイヤレス給電、ロボット、クラウドサービス、スマートファクトリー、インダストリー4.0
<管理人のコメント>
「ニューラルネットワーク、ディープラーニング、機械学習」の3つが、予想出題項目の大本命となります。 いずれも人工知能(AI)関連の用語でして、「ニューラルネットワーク」とは、人間の脳の仕組みを人工的に再現したもの。
「ディープラーニング(深層学習)」とは、ニューラルネットワークの考え方を取り入れた人工知能の技術であり、「機械学習」の一種です。
それでは、「機械学習」と「ディープラーニング」は、どう違うのかと言うと、まず、どちらも
- データを与えるだけで、自分自身でドンドン学習してくれる
という点は同じです。
たとえば、画像認識の場合、「猫の画像」をドンドン読み込ませてやると、機械学習もディープラーニングも、どちらも自分自身でドンドン学習して、そのうち、様々な画像のなかから「猫の画像」をピタリと判定(認識)できるようになります。
それでは、機械学習とディープラーニングのどこが違うのかと言えば、
- 機械学習:人間が「猫の特徴」を教える必要がある
- ディープラーニング:人間が「猫の特徴」を教える必要はない
と言うことです。
具体的には、機械学習に学習させるときは、「猫の画像を認識するときは、猫の耳やヒゲが特徴的だから、そこに注目するといいよ」と教える(指示する)ことが必要です。
しかし、ディープラーニングの場合、人間は何も教える必要はありません。ただ、大量の画像を読み込ませるだけで、「猫(の視覚的な存在)とは、このようなものだ」と、ディープラーニングが勝手に猫の概念を認識してしまうのです。
これは、「視覚」という五感の1つに過ぎませんが、
「猫の概念を獲得し、『猫とはどのようなものであるか』ということを認識した」
と言えます。
まるで、人間の赤ちゃんが、毎日毎日、色々な情報に触れて、
「人間とは」「猫とは」「テレビとは」「ごはんとは」・・・という概念を獲得していくようなものです。
これが、ディープラーニングによって「シンギュラリティがおきる」などと注目されている理由です。
※AI(ディープラーニング)について詳しくは、下記記事を参考にしてください。
※その他、上記に出てきた用語については、下記の動画も参考にしてください。
システム戦略
システム戦略
エンタープライズサーチ、SoR(Systems of Record)、SoE(Systems of Engagement)、バックエンド、フロントエンド、BPMN(Business Process Modeling Notation)、RPA(Robotic Process Automation)、テレワーク、シェアリングエコノミー、PoC(Proof of Concept)、ディジタルトランスフォーメーション、テキストマイニング、データサイエンス、データサイエンティスト、ビッグデータの分類(オープンデータ、パーソナルデータなど)、アクセシビリティ
※ビッグデータ関連用語について詳しくは下記動画をチェックしてみてください。
システム企画
グリーン調達
マネジメント分野
開発技術
ソフトウェア開発管理技術
DevOps、アジャイル開発、XP(エクストリームプログラミング)、テスト駆動開発、ペアプログラミング、リファクタリング、スクラム
サービスマネジメント
サービスマネジメント
チャットボット
システム監査
レピュテーションリスク
テクノロジ分野
コンピュータシステム
コンピュータ構成要素
IoTデバイス、センサ、アクチュエータ
ソフトウェア
iOS、Android
ハードウェア
スマートデバイス
技術要素
マルチメディア
4K/8K
<管理人コメント>
このマルチメディアの分類には、「VR」と「AR」がシラバス3.0以前に用語として記載されています(そのため、シラバス4.0追加用語には入っていません)。
VRとARだけでなく「MR」も含めて、3つセットで覚えてください。
VR(バーチャル・リアリティ)とは「仮想現実」であり、「すべてコンピュータグラフィックスで作られた空間」です。
AR(オーグメンティッド・リアリティ)とは「拡張現実」であり、透過型メガネなどを用いて、現実世界の映像の中に、仮想の画像や映像(コンピュータグラフィックスなど)を加えて表示させる技術。簡単に言えば「ポケモンGO」がARです。
MR(ミックスド・リアリティ)とは、VRとARをミックスさせた「複合現実」。現実世界の中に、仮想のコンピュータグラフィックスを加えて表示するところまではARと同じ。ただし、ARと違って、仮想のコンピュータグラフィックスの精度が高く、「現実と区別がつかない」ところがポイント。たとえば、
「現実の更地に、将来建設予定のマンションのCGを加えて表示する」
などをMRで行えば、見た目では、本物のマンションと区別がつきません。
データベース
RDBMS、NoSQL
ネットワーク
5G、SDN(Software Defined Networking)、ビーコン、LPWA(Low Power Wide Area)、エッジコンピューティング、BLE(Bluetooth Low Energy)、IoT エリアネットワーク、テレマティクス
セキュリティ
RAT、SPAM、シャドーIT、不正のトライアングル(機会、動機、正当化)、ドライブバイダウンロード、キャッシュポイズニング、DDoS 攻撃、リスクアセスメント(リスク特定、リスク分析、リスク評価)、真正性、責任追跡性、否認防止、信頼性、プライバシポリシ(個人情報保護方針)、安全管理措置、サイバー保険、情報セキュリティ委員会、SOC(Security Operation Center)、コンピュータ不正アクセス届出制度、コンピュータウイルス届出制度、ソフトウェア等の脆弱性関連情報に関する届出制度、J-CSIP(サイバー情報共有イニシアティブ)、サイバーレスキュー隊(J-CRAT)、組織における内部不正防止ガイドライン、DLP(Data Loss Prevention)、SSL/TLS(Secure Sockets Layer/Transport Layer Security)、MDM(Mobile Device Management)、ブロックチェーン、耐タンパ性、クリアデスク・クリアスクリーン、セキュリティケーブル、遠隔バックアップ、ハイブリッド暗号方式、タイムスタンプ(時刻認証)、多要素認証、静脈パターン認証、虹彩認証、声紋認証、顔認証、網膜認証、本人拒否率、他人受入率、IoT セキュリティガイドライン、コンシューマ向け IoT セキュリティガイド
最新のITトレンド用語(時事用語)を予想する <まとめ>
ここまで、来年以降の中小企業診断士一次試験 経営情報システムに出題されそうな「最新のITトレンド用語(時事用語)」について見てきました。
ざっと概要をおさえておくだけで、得点に直結する可能性が高いですから、ぜひ、チェックして欲しいと思います。
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また前述のとおり、ITパスポートのシラバスは2021年11月現在、V6.0が最新となっています。
当記事の続報にあたる「経営情報システムで出題される最新のITトレンド用語(時事用語)をITパスポート試験のシラバス5.0/6.0から予想する」記事において、V5.0やV6.0から追加された用語に言及しています。合わせてチェックしてみてください。
※診断士受験生のなかには、「経営情報システムが苦手」という方も多いのですが、そうした方はITパスポートを勉強してみては如何でしょうか。イメージとしては「財務会計が全く分からないので、最初の1週間で簿記3級をマスターしたら、あとの勉強が楽になった」というものに近いと思います。
※ITパスポートに興味を持たれた方は、以下を読んで参考書を選んでみてください。
【ITパスポートで最速合格するための参考書!】
2013年の発売以来10年間で6回もの改訂を行ったロングセラー。ITや情報システムについて「たこ焼き屋チェーンを運営する企業が売上アップやDX対応に奮闘する」という経営ストーリーをベースに解説するので、暗記に頼らず楽しみながら知識を定着させることがができます。
その他、必要最低限の暗記を効率的に行う記憶術、毎回10問程度出題される計算問題の頻出パターン集中講義など、
この1冊だけで初心者を24時間でITパスポート合格レベルへ導きます。1,000点満点合格者の当ブログ管理人が執筆しました。
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