簿記2級は意味ない?なぜ、そう思われるのか?
簿記とは日々の企業のお金やものの出入りを記録するための方法で、大学生や社会人を中心に幅広い人に愛されている資格です。
しかし、ネット上の口コミを見てみると、「簿記2級は意味がない」「簿記2級を取得しても何も変わらない」「簿記は1級まで取らないと」などの意見が…。
結論から言うと簿記2級は役に立つ資格ですが、価値がないと考えている方は少なくありません。
まず最初に、なぜ簿記2級が意味ないと思われているのかいくつかの理由を挙げてみました。
超有名資格のため、かんたんな資格と勘違いされている
簿記2級の取得が意味ないと言われる一番の理由は、超有名資格のため、カンタンな資格だと勘違いされやすいからですね。
以下では、簿記2級の合格率がどのくらいなのか近年のデータをまとめてみました。
試験実施日 | 実受験者数 | 合格者数 | 合格率 |
---|---|---|---|
151回(2019年2月) | 49,776名 | 6,297名 | 12.7% |
152回(2019年6月) | 41,995名 | 10,666名 | 25.4% |
153回(2019年11月) | 48,744名 | 13,195名 | 27.1% |
154回(2020年2月) | 46,939名 | 13,409名 | 28.6% |
156回(2020年11月) | 39,830名 | 7,255名 | 18.2% |
157回(2021年2月) | 35,898名 | 3,091名 | 8.6% |
158回(2021年6月) | 22,711名 | 5,440名 | 24.0% |
簿記2級の問題は回ごとで難易度が変わるため、合格率が変動していることがわかります。
どの試験年度を見てみても、税理士や社会保険労務士など他の士業と比べて合格率が高いのは事実です。
更に高校生でも試験OKと受験資格が設定されていないので、「簿記2級は簡単な資格」と勘違いされています。
確かに簿記3級の平均合格率は約46%で難易度は低いのですが、簿記2級は決してそんなことはありません。
簿記2級になって試験の合格率が低くなる理由は次の4つです。
- 製造業の原価管理に使われるような知識の工業簿記の問題が加わる
- 記述式で回答する問題は1問1問を解くのに時間がかかる
- 2016年の簿記2級の試験範囲の改定で出題される範囲が広がった
- 1年間に3回の試験が実施されているため、意気込みが足りなくなりがち
簡単とは言えない試験ですので、簿記2級に合格するのは大きな意味があると判断できます。
取得者数が多いため、差別化がしにくいと思われている
上記の表でも解説した通り、簿記2級は取得者数の多い資格です。
2020年度は新型感染症の拡大のため、第155回が中止になって1年間の試験回数は2回になりました。
しかし、例外がなければ簿記2級の試験は1年間に3回で、毎年15万人近くの方が受験していますよ。
試験の合格率を加味すると、毎年3万人~4万人が簿記2級に合格する計算です。
つまり、「簿記2級だけでは差別化がしにくいのでは?」との考えに至り、簿記2級は意味がないと思われています。
簿記2級の受験者数と取得者数が多いのは紛れもない事実ですが、数百万人を超えるビジネスパーソンがいるビジネスの世界全体で見れば極めて少ない数値です。
マクロ的に見れば、簿記2級の資格取得者の希少価値が下がることはありません。
士業等に比べると独立開業向きの資格ではない
簿記2級と士業の資格を比較してみると次の違いがあります。
- 税理士や公認会計士、行政書士などの士業は独立開業に向いている資格
- 簿記2級の資格を持っていても独立開業ではあまり役に立たない
財務会計の公認会計士や税務の独占業務を行う税理士は、独立開業向きの資格です。
就職や転職ではなく、独立して自分の事務所を構える目的で士業の資格を取得する方は少なくありません。
一方で簿記2級は独立開業向きの資格ではないため、将来的に独立を考えている人は意味がないと考えてしまいがちです。
とは言え、独立開業を検討していない人にとっては、簿記2級は就職や転職で役立つ資格です。
下記の項目で詳しく解説しますが、簿記2級の知識は、様々なビジネスの現場で活かすことができます。
資格だけ持っていても、実務を知らないと意味がない、と思われている
「企業を経営してきた」「経理でOJT教育を受けた」「フリーランスでお金のことを勉強した」など、実務で会計と密接に関わっているビジネスパーソンは多くいます。
そのような人は、「資格だけ持っていても実務を知らないと意味がない」と考えるため、簿記2級不要論を唱えることも…。
確かに実務経験の中でやっているうちに身につくことは多いのですが、一般の人は同様の環境を中々用意できません。
学習の入り口が違う点を加味すれば、簿記2級の勉強をして体系的な知識を習得するのは十分に意味があります。
実務経験がなくても、経理の職に就きたいと思っているなら簿記2級は取るにこしたことはありません。
税理士や会計士など、専門的なことは専門家に任せればよい、と考えられている
簿記2級の上位互換の資格として、税理士や公認会計士が代表的です。
簿記が必要な場面になった時に、「専門的な内容は専門家に任せれば良いのでは?」と考える方は少なくありません。
税理士や会計士は簿記の知識を持っていますので、簿記2級の資格だけでは意味がないと言われてしまいます。
しかし、企業の立場に立って考えてみると、外注した専門家が自分たちの会社について理解できることは僅かです。
お金やものの出入りなど経営の根本を担う仕事は、外注したとしても数値は自分たちで管理したり分析したりしないといけません。
税理士や会計士などの専門家が頼りになるのは事実ですが、自社の中で経営判断する必要があります。
そういった人材を求めている会社はありますので、簿記2級の資格は十分にアピールポイントになるわけです。
将来的にAIに置き換えられる、と思われている
「今の仕事の多くはAIに置き換えられる」とあらゆる業種や職種でささやかれています。
「せっかく資格を取得してもAIに置き換えられたら価値がなくなるのでは?」と、将来に不安を抱えている方はいませんか?
消滅する仕事の中には経理事務員も入っていますので、簿記2級の仕事もAIに代替される可能性はあります。
しかし、経理の仕事の作業はAIで代替できたとしても、良し悪しを判断できる人が欠かせません。
簿記2級でAIに代替できる部分があったとしても、人間が判断する上流工程の部分までを、すべて置き換えるのは不可能ですよ。
更にAIが著しい進化を遂げる中、AIによる代替は簡単でないことがわかりました。
AIは与えられたデータの正誤を判断できないため、経理の仕事で簿記2級の資格を持つ方は重宝されます。
「いずれAIに置き換えられるから簿記2級に将来性はない」という考えは間違いです。
簿記2級の取得には意味がある!簿記2級を取ることのメリット!
簿記2級は価値のある資格ですので、「取得しても意味がない」ということはありません。
簿記2級の取得で就職や転職などビジネスシーンはもちろんのこと、日常生活でも役立てることができます。
これから資格勉強を始める予定の方は、簿記2級を取ることのメリットを詳しく見ていきましょう。
簿記の知識があれば、ビジネス感覚を養うのに役立つ
簿記2級を取得して知識を身に付けると、ビジネス感覚やビジネスマインドを養うのに役立ちます。
ビジネス感覚とは、コストや生産性、費用対効果などの商売が成り立つのか否かを判断する感覚です。
ビジネスマインドとは、広い意味で仕事(業務)に対する姿勢、および考え方のことです。
以下では、仕事を行うに当たってビジネスマインドが必要な理由をいくつか挙げてみました。
- 「時間を守る」「無断欠勤をしない」などの問題行動の発生率が低くなり、責任感を持って仕事に取り組める
- 職場で助け合いをしてより良い人間関係を築き、同僚や上司からの信頼を得られるようになる
- 仕事上のマナーやルールをしっかりと守って業務を進められるようになる
つまり、簿記2級の資格を持つことで仕事に良い影響が出ます。
近年では簿記試験の出題分野が大きく改定され、資格の取得でビジネスマンとして基礎的な素養を身に付けられるという意味合いが強くなっています。
ビジネスシーンで役立ちますので、簿記2級を持っておいて損をすることはありません。
就職・転職に役立つ
簿記2級は就職活動を有利に進められる資格で、次の3つのメリットが存在します。
- 簿記の知識やスキルがあることで内定をもらいやすくなる
- 経理専門職採用の選考でも十分に戦えるようになる
- 経理や財務などの部門への配属の確率が高くなる
経理職の求人の中で、簿記2級を必須条件にしている会社は少なくありません。
企業が求める資格ランキングでも1位を獲得していることもあり、他の学生と差を付けることができますよ。
単純に簿記2級の知識やスキルに加えて、大学時代の学習意欲の高さを証明するアピールに繋げられるでしょう。
また、簿記2級は就職活動だけではなく、転職活動でも武器になります。
簿記2級の資格と経理実務の経験があれば、「実務能力と知識のバランスが取れている人」と面接官に評価されるわけです。
仮に未経験だとしても、20代と若ければ簿記2級の資格を持っているだけで転職市場での価値は高まります。
簿記の知識は日々の経営活動を記録したり計算したりする際に利用されますので、経理以外の業界でも役立つこと間違いなし!
自分が希望する業界への就職や転職を検討している方は、簿記2級の取得を目指してみてはいかがでしょうか。
資格手当や昇給など、収入アップに繋がる
企業内においても、簿記2級の資格を持っている人材は重宝されます。
資格手当や昇給など、収入アップに繋がりやすいのは簿記2級のメリットですね。
以下では、資格手当でどのくらいの金額をもらえるのか目安をまとめてみました。
資格手当の金額の目安 | |
---|---|
日商簿記1級・2級 | 3,000円~20,000円 |
ファイナンシャルプランナー1級・2級 | 10,000円~20,000円 |
秘書検定1級・準1級・2級 | 500円~10,000円 |
TOEIC650点以上 | 3,000円~20,000円 |
マイクロソフトオフィススペシャリスト | 1,000円前後 |
会社の規定で異なりますが、簿記2級の取得者には1ヵ月当たり3,000円~20,000円が支給されます。
良い職場への転職を成功させれば、大幅な収入アップも決して夢ではありません。
会社の経営診断・業績評価ができる
簿記2級の資格を持っている方は、会社の経営判断や業績評価ができます。
企業の業績を判断できることにより、どんなメリットがあるのか見ていきましょう。
- 就職や転職で良い会社を選べるようになる
- 株価の安定した企業に投資できる
- 投資による資産形成が加速する
- 仕事で成果を出して給与がアップする
簿記2級の知識を持っていると、財務諸表から会社がどのような状況にあるのか簡単に読み取れます。
企業の良し悪しを自分の目で判断できれば、不確かなウワサやイメージに惑わされずに済むわけです。
「自分が興味を持った分野で伸び盛りの企業で働きたい」と考えている方は、簿記2級のスキルを有効活用してみてください。
経理の実務に活かせる
簿記2級の資格は、経理の実務に活かせるのも大きなメリット!
簿記2級は試験範囲の改定により、税効果会計や連携会計など実務面の要素が強まりました。
基本的な経理に加えて実務でも強く求められる論点を学べますので、以前よりも資格の価値が上がっていますよ。
簿記2級の資格を持っているだけでも、「少し育てたら戦力になりそうだな」と採用担当者に思ってもらえるのです。
難易度が上がったとも考えられますが、「簿記2級が意味ない」とは言えなくなりました。
さらなるステップアップが目指せる
上位資格のステップアップとしても簿記2級は役立ちます。
簿記2級の内容は経営や会計など幅広い分野に及びますので、他の資格取得に向けた第一歩になるわけですね。
具体的にどのような上位資格の取得で簿記2級が役立つのか見ていきましょう。
- 日商簿記1級:極めて高度な商業簿記や会計学、経営管理や経営分析を分析する
- 公認会計士:企業の監査と会計を専門分野とするプロフェッショナル
- 税理士:納税のアドバイスや申告書の作成を行う税金のスペシャリスト
- 中小企業診断士:中小企業の経営課題に対応する診断や助言を行う専門家
簿記2級は会計分野への適性を確かめながらも、他の資格を取得してその後の広がりに期待できます。
副業や起業にも活かせる
上記の項目では、簿記2級は独立開業に向かない資格だと解説しました。
しかし、副業や起業をした際に簿記の知識はそのまま役立ちます。
副業や起業と簿記2級の関係性は下記の通りです。
- 自分の事業の必要経費がわかる
- 収入と支出のバランスを調整できる
- 簡単に確定申告ができる
- 自分で業績判断ができる
副業や起業で自分でお金を稼いだら、「○○○は経費で落とせるの?」「どのくらいの利益が出たの?」などの計算をして税金を納めないといけません。
簿記の知識を活用すれば理解が早まりますので、独立するタイミングで簿記2級を取得するのは選択肢の一つです。
確定申告や資産運用にも活かせる
確定申告を税理士に依頼すると、3万円以上の費用がかかります。
そんな時に簿記2級の知識があれば、帳簿の付け方や国税庁が要求する内容を把握できますので、毎年確定申告をしている方に欠かせない資格です。
また、簿記2級は資産運用をして豊かな生活を送る際にも活かすことができます。
株式投資を始めるに当たり、企業の経営成績や財務状況のチェックは欠かせません。
何の知識もない人にとってはかなり難しいのですが、簿記を活用して決算書が読めるようになれば「この数字が何を意味するのか?」「これからどうなっていくのか?」を判断できます。
資産運用の成果を上げたい方は、簿記2級の資格の取得を目指してみてください。
まとめ
以上のように、簿記2級にはたくさんのメリットがありますので、「意味がない」「役立たない」ということはありません。
就職活動や転職活動で役立つだけではなく、更なるステップアップの第一歩の資格にもなります。
社会人として身に付けておいて損のない基礎教養ですので、これから簿記2級の勉強を始めてみてはいかがでしょうか。
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