簿記3級に不合格は恥ずかしい?
他の資格と比較してみると、簿記3級の検定試験は簡単とのイメージがあります。
そのため、簿記3級を受けて不合格になり、「これって恥ずかしいことなのでは?」「落ちた自分が情けない」と考える方は少なくありません。
しかし、簿記3級はビジネスマンがマスターすべき必須の基本情報で、社会人向けの資格になっています。
初めて簿記を学ぶ人にとっては大人でも苦労しますので、受験者が学生であれば何も恥ずかしいことではないですよ。
他にも、簿記3級に不合格になって恥ずかしさを覚える必要がない理由をいくつか挙げてみました。
- ラッキーで合格できるほど甘い試験ではなく、誰でも受かるわけではない
- 試験の合格率は50%を切っていて、2人に1人は不合格になる計算
- 試験時間が短いのにも関わらず、高度な情報処理を求められる
- テストセンターで受けるネット試験は気が散って集中できない
落ちた人に対して、「やり込みが浅かったね」「簿記をナメていたね」と感じることはあります。
それでも、いきなり運転免許試験を受けて落ちるのと同じで、簿記3級も準備無しでは難しいと心得ておくべきです。
真剣に取り組まなければ落ちるのは当たり前
簿記3級に限った話ではないものの、真剣に取り組まなければ落ちるのは当たり前です。
正しい方法で学習した方は合格し、間違った方法で学習した方は不合格になりますね。
以下では、簿記の級別で必要となる勉強時間を比較してみました。
簿記検定試験 | 勉強時間の目安 |
---|---|
簿記3級 | 100時間 |
簿記2級 | 300時間 |
簿記1級 | 600時間 |
簿記1級や簿記2級と比べて簿記3級の勉強時間の目安は短いのですが、それでも100時間はかかります。
つまり、「簿記3級くらい普通受かると思っていたけど、落ちた自分は本当にダメだ…」と思う必要はありません。
もちろん、一度簿記3級を受けて不合格になった人は、「なぜ自分は落ちてしまったのか?」「どういった取り組みをすれば合格できるのか?」といった点を把握するのが大事です。
簿記3級の難易度・合格率
一昔前と比べてみると、簿記3級の難易度は上がっています。
簿記3級の試験の合格率がどのくらいなのか、近年のデータを見ていきましょう。
試験実施日 | 実受験者数 | 合格者数 | 合格率 |
---|---|---|---|
148回(2018年2月) | 78,243名 | 38,246名 | 48.9% |
149回(2018年6月) | 79,421名 | 35,189名 | 44.3% |
150回(2018年11月) | 88,774名 | 38,884名 | 43.8% |
151回(2019年2月) | 80,360名 | 44,302名 | 55.1% |
152回(2019年6月) | 72,435名 | 40,624名 | 56.1% |
153回(2019年11月) | 80,130名 | 34,519名 | 43.1% |
154回(2020年2月) | 76,896名 | 37,744名 | 49.1% |
156回(2020年11月) | 64,655名 | 30,654名 | 47.4% |
157回(2021年2月) | 59,747名 | 40,129名 | 67.2% |
158回(2021年6月) | 49,313名 | 14,252名 | 28.9% |
合格率が50%を超える年度も多く、第157回の簿記3級試験に関しては67.2%でした。
しかし、第158回の試験の合格率は28.9%とかなり低くなっていますよ。
「簿記3級なんて簡単」と考えるのは、経理の実務経験があったり、会計士や税理士などの超難関資格を目標としている人の意見です。
簿記や経理業務の経験がない人にとっては難易度が高いため、簿記3級に不合格でも恥ずかしさを感じる必要はありません。
※簿記3級の難易度、合格率や勉強時間の詳細はこちら!
簿記3級に落ちた原因ベスト4
簿記3級の試験に不合格になってショックを受ける気持ちはわかりますが、なぜ落ちたのか原因を把握するのは大事です。
自分が落ちた原因さえわかっていれば、次回にチャレンジした時に同じ失敗を繰り返さずに済みます。
このページでは、簿記3級に落ちた原因ベスト4をまとめてみました。
そもそも簿記の仕組みを理解していない
簿記の基本的な仕組みは、会社の取引をルールに従って仕訳して決算書を作成することです。
簿記の流れを表す簿記一巡の手続きの流れは下記のようになります。
- 取引を勘定科目に振り分ける(仕訳)
- 勘定科目ごとの帳簿に転記する(総勘定元帳への転記)
- 決算書を作成するための仕訳をする(決算整理)
- 貸借対照表や損益計算書などの決算書を作成する
こういった簿記の仕組みを理解していない人は、簿記3級の試験を受けても不合格に…。
何も知らずに挑戦する方は少ないと思いますが、独学で勉強を進めて自分なりに解釈して間違った受け止め方をすると、試験で得点することはできません。
先に書いた通り、簿記3級は世間的には、とてもカンタンな印象があります。
「簡単な試験なら独学で過去問さえやっておけば受けるだろう」と勉強を疎かにしていると、想像以上に難易度が高くて落ちるわけです。
簿記3級は必ずしも基礎的な問題が出題されるわけではなく、応用問題や捻った類似問題が出題されます。
基礎が身についていない人は得点できないため、簿記の基本となる仕組みを覚えて基礎作りをしないといけません。
世間の「簿記3級はカンタン」という声に惑わされて勉強時間が足りなかった
インターネット上の口コミを見てみると、「簿記はカンタン」「独学で合格できる」「1週間でも受かる」「誰でも取れる」との意見が出回っています。
100%ウソの情報ではないものの、下記の通り隠れた条件が付いている点に要注意です。
- (正しい取り組み方をすれば)簿記はカンタン
- (時間をかければ)独学で合格できる
- (経験がある人は)1週間でも受かる
- (普通に対策すれば)誰でも受かる
世間の声に惑わされてきちんと勉強できなかった人は、当然のように簿記3級の試験にも落ちます。
簿記3級に合格するためには、100時間程度の学習が必要ですので、勉強時間が足りないのは不合格の大きな原因ですね。
また、簿記3級の受験を申し込んだものの、仕事が忙しくて勉強の時間を確保できない方は少なくありません。
「一夜漬けでやれば何とかなるだろう」と安易な考え方をしている人も試験に落ちる傾向あり…。
今までの経験や知識の量で変わりますが、いくら何でも一夜漬けで簿記3級に合格するのは不可能です。
「計画的に勉強する」「前日は良く休んで体調を整える」と正しい対策をしない人は、解ける問題も解けなくなると心得ておきましょう。
アウトプットの演習不足でケアレスミス(凡ミス)を連発
ケアレスミス(凡ミス)を連発している方は、簿記3級の試験に落ちやすくなります。
簿記の試験は選択式ではなく記述式ですので、文字を書く作業が必要です。
試験形式の特性上、「3箇所が当たっていて初めて得点できる」という問題で、1箇所のケアレスミスで得点できないケースも少なくありません。
財務諸表の作成を例に挙げてみると、最初のミスで後半の問題を全て間違ってしまうこともあります。
ミスの連発で基礎的な問題を得点できなければ、簿記3級に合格できないのは当然ですよね。
ケアレスミスの原因は、アウトプットの演習不足だと考えられています。
簿記3級に限らず全ての資格試験では、テキストを読み込むインプットに加えて過去問題集を解くアウトプットが欠かせません。
試験の出題傾向を掴むためにもアウトプットは大事ですので、過去問題集を繰り返し解いてケアレスミスを防ぎましょう。
本番で時間配分を間違えてしまう
2020年度までは、簿記3級の試験は120分問題でした。
しかし、2021年度の簿記3級からは、試験の制限時間が従来の半分の60分になっています。
その分問題数は減っているのですが、本番での時間配分をキチンと意識する必要があります。
時間の配分を間違えてしまうと、致命的になり、不合格になりやすくなるので注意が必要です。
第1問と第2問に時間をかけすぎていて、第3問に手を付けられなかった場合、合格基準の70点に届かなくなります。
逆に言えば、本番試験において、制限時間以内に全問解くことができれば、合格にグンと近付きます。
以下では、簿記3級の各問題に対して、目安の時間配分をまとめてみました。
- 第1問(仕訳問題):1問当たり1分で解いて15分を目安に次の大問に入る
- 第3問(総合問題):25分くらいの時間で貸借対照表と損益計算書の問題を解く
- 第2問(補助簿の問題など):最後の15分間で補助簿の問題を解く
簿記3級の試験は、「第1問」⇒「第3問」⇒「第2問」の順番で取り組む方法がおすすめ!
55分で一通りの問題を解き、残りの5分間で飛ばしている問題に挑戦してみてください。
次回、落ちた人が簿記3級に必ず受かるためにやるべきこと
一度簿記3級の試験に落ちても、「次は受かる!」と諦めない心が大切です。
とは言え、同じやり方で取り組んでいると同じ失敗を繰り返す恐れがありますので、過去に簿記3級に落ちた人が必ず受かるために何をすべきなのか見ていきましょう。
まずは「簡単な試験ではない」ことを自覚し、本気で向き合うことを決意する
簿記3級に必ず受かるためには、「簡単な試験ではない」と自覚しないといけません。
「難易度が低いから次こそは受かるでしょ」と油断していると、同じ過ちを繰り返すことになります。
そのため、簿記3級の合格を目指している方は、本気で向き合うことを決意しましょう。
初学者の方でも、本気で取り組んで勉強を進めれば簿記3級に合格できます。
学習スケジュールをしっかり立てる
簿記3級に合格するには、学習スケジュールをしっかりと立てるのが大事です。
多くの合格者は、試験日までには全ての試験範囲を網羅できるようにプランニングしていますね。
逆に簿記3級で不合格になる方は、行き当たりばったりで勉強に取り組んでいる傾向あり…。
以下では、「最短で簿記3級に合格したい」「じっくり勉強して簿記3級に合格したい」と2つのパターンにわけて学習スケジュールの目安を解説していきます。
- 最短合格を目指している⇒1日に4時間~6時間の勉強時間を確保し、テキストを読んで理解を深めたら、最近3回分の過去問を解く
- じっくり勉強したい⇒約3ヵ月の学習期間を目安に、テキストの読み込みや予想問題、過去問題に挑戦して知識を身に付ける
実務経験のない初学者の場合は、勉強期間に余裕を持たせて学習スケジュールを組んでください。
勉強法を変える~独学よりは通信講座を選ぶなど
独学で簿記3級に失敗したのであれば、次回は勉強法を変えてみるのもおすすめ!
例えば、独学をやめて通信講座を選ぶのが効果的ですよ。
通信講座を利用して簿記3級の合格を目指すに当たって次の4つのメリットがあります。
- あらかじめテキストが用意されているので自分で用意する必要がない
- 1台のスマホがあれば動画講義はいつでもどこでも好きなタイミングで学べる
- 疑問点をすぐに質問できるなど学習のサポート体制が整っている
- 講座によっては初心者が1ヵ月~で合格を目指せるカリキュラムが組まれている
自分ひとりの力で簿記3級の学習を進めるよりも、通信講座の方が効率良く知識を身に付けられるでしょう。
スタディングの通信講座なら簿記3級が3,850円
簿記3級の資格講座は、一般的に1~数万円程度の費用が掛かります。
そのなかで、コストパフォーマンスを考えた場合、スタディング簿記講座がピカイチです。
なんと簿記3級講座が3,850円。市販のテキストと問題集を買うのと変わらない価格で通信講座が受講できます。
もちろん、「安かろう、悪かろう」ではありません。
すべてのメニューをスマホから利用できる先進のeラーニングシステムを採用しており、低価格と高品質を両立しています。
※スタディング簿記講座について詳しくは、下記の記事をチェックしてみてください。
合格率の高さならフォーサイト簿記講座
一方、「合格率が高い通信講座を受けたい」という方ならフォーサイト簿記講座をおすすめします。
2022年6月実施の簿記3級検定において、フォーサイト簿記講座の受講生の合格率は、なんと84.4%。10人に8人以上が合格している計算です。
ここまで合格率の高い講座は他にないので、気になる方は詳細を確認してみてください。
インプットだけでなく、手を動かしてアウトプット学習も十分に行う(手で覚える)
上記の項目でも解説した通り、知識のインプットだけでは簿記3級に合格できません。
自分で手を動かして覚えるアウトプット学習を取り入れるのは合格の秘訣です。
簿記3級のアウトプット期間は、「過去問や予想問題を解く」⇒「わからない部分はテキストを読み直す」という流れで勉強しましょう。
過去問や予想問題を解いて終わりではなく、間違えた部分やわからなかった箇所を復習すると得点力のアップに繋がります。
同じミスをするのが一番勿体ないので、間違えたところは繰り返し、簿記3級の内容を完璧に理解するまでやり込んでください。
受験直前には予想模試などで直前対策を万全にする
簿記3級の基本の勉強は、テキストのインプットと問題集を使ったアウトプットです。
しかし、これだけでは不十分ですので、受験直前に予想模試などで直前対策を万全にしましょう。
簿記3級の本番前に予想模試を受けるメリットは次の3つです。
- 本番試験と同じ条件で問題を解く機会を作ることができる
- 試験の時間配分のテクニックを身に付けられる
- 得意分野や苦手分野など自分の今の実力を把握できる
あらかじめ試験の雰囲気に慣れておくことで、本番でも実力を発揮しやすくなります。
簿記の模試は資格スクールや予備校が開催していますので、直前対策として試してみてください。
まとめ
初学者にとって簿記3級の試験は意外と難易度が高いので、不合格になったとしても恥ずかしくはありません。
しかし、「勉強時間が足りなかった」「アウトプットの演習不足だった」など、なぜ試験に落ちたのか原因を探るのは大事ですよ。
同じ失敗を繰り返さないためにも、学習スケジュールをしっかり立てたり通信講座を利用したりして簿記3級の合格を目指してみてください。
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