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中小企業診断士試験

2次試験事例4(財務・会計の事例)の出題傾向や対策、勉強方法を徹底解説!

2次試験事例4(財務・会計の事例)の出題傾向や対策、勉強方法

こんにちは、トシゾーです。

今回は、中小企業診断士二次試験の事例4、「財務・会計を中心とした経営の戦略及び管理に関する事例」(略して「財務・会計の事例」)について、ご説明します。

中小企業診断士二次試験には、正解はありません(少なくとも発表されない)。

そんななかで、事例4は、しっかり計算問題に対応できる方であれば、得点獲得の見込み(算段)を立てやすい科目といえます。

もちろん、事例4は簿記のような、単なる計算問題だけの試験ではありません。

他の事例と比較して短いとはいえ、事例企業の状況を説明する与件の文章が1ページほど付いて来ます。

その与件文を、貸借対照表や損益計算書など、他の書類と合わせて確認し、計算問題の数値をファクト(エビデンス)としたうえで、事例企業に対する的確なコンサルティング(紙上)を行わなければならないのです。

事例4においても、解答用紙が、事例企業に対する改善提案書・経営診断書の位置づけであることは間違いありませんが、事例1~事例3とは、かなり異なる構成になっています。

以上のように、非常にユニークな事例4の出題傾向や対策、勉強方法について説明していきます。

興味のある方は、ぜひチェックしてみてくださいね。

中小企業診断士二次試験事例4の概要

まず、事例4の試験概要を、ざっと確認しておきましょう。

  • 試験時間:80分
  • 試験形式:記述式(論述式)に加え、計算問題多数
  • 出題範囲(出題内容):財務や会計を中心とする経営戦略に関わる事例
  • テーマとなる業種(与件企業):特定の業種に偏ることなく、多くの業種から出題される
  • 出題設問数:大問が4問程度、小問が最大10問程度

出題傾向

冒頭にも書きましたが、財務・会計の試験とはいえ、簿記のような計算問題だけの出題ではありません。

事例4の解答用紙そのものが、事例企業への「経営診断書」「改善提案書」になるように、試験自体が設計されています。

そのうえで、出題者の意図に沿う形で、納得度の高い分析および提案をする必要があります。

具体的なプロセスは以下のとおり。

・与件から、事例企業の問題点や、取り巻く環境を把握する

・第1問(経営分析が鉄板)では、事例企業の貸借対照表・損益計算書などの財務諸表を経営分析の指標を使って分析し、事例企業の現状の課題・問題点に対するエビデンスとする

・第2問以降は、出題者の意向に沿う形で、改善提案につながる各種分析等を行う。
以下のようなテーマで問われることが多い

・設備投資の経済性計算
損益分岐点分析
・キャッシュフロー計算
・企業価値
・プロダクトミックス
・為替、オプション など

中小企業診断士二次試験事例4の試験対策

前項で見たとおり、事例4では出題される論点は、ほぼ決まっています。
以下、それぞれの対策ポイントを見ていきましょう。

経営分析

事例4の第1問目の鉄板は「経営分析」。あまりマニアックな指標を選ぶのではなく、「収益性分析」「効率性分析」「安全性分析」とオーソドックスな指標から、与件や設問の条件を満たす指標を選んで計算します。

具体的な指標の例については後述します。なお、「指標を3つ選べ」のように複数選出かつ自由度の高い条件の場合、以下のようにバランスを考慮すべきでしょう。

  • 「収益性」「効率性」「安全性」の網羅性を考える
  • 「よい指標」だけでなく「悪い指標」も加える、など

設備投資の経済性計算

設備投資の経済性計算は、多くの論点が含まれることが多く、難易度の高い問題となります。
具体的に含まれる論点には、以下のようなものがあります。

  • NPV法(正味現在価値法)
  • 回収期間法
  • 内部収益法
  • デシジョンツリー
  • 取替投資
  • 減価償却

上記の論点一つ一つは、そこまで難解ではありませんが、これらの論点が複数含まれた問題を、限られた時間内で計算ミスすることなく正答するのは、非常に厳しいといえます。

※特に事例4は、朝から3事例(80分×3)を全力で解いた後であり、疲労もたまっているはずです。そんななかで少なくない計算量を間違いなくこなすのは、相当な至難の業です。

おそらく、出題者側でも、上記事情を分かっているのでしょうか、設備投資の経済性計算の問題においては、

「計算過程を解答用紙に書きなさい」

とされるケースがよくあります。完全な正答は難しくても、計算プロセスに誤りがなければ部分点がもらえますから、しっかり計算プロセスを書くようにしましょう。

また、設備投資の経済性計算の問題は問2または問3で出題されることが多いのですが、問題文を見て、難易度が高そうであれば、最後に解くことをおすすめします。

一般的に、第1問、第4問を先に解いて、次に2問目と3問目の解きやすい方から解くのがおすすめです。

難易度の高い年度の場合、「問2と問3が、ほぼ手つかずだったのに合格した」というケースも少なくありません。

最後まで諦めずに、1点でも多く積みあがるように粘っていきましょう。

損益分岐点分析(CVP)、キャッシュフロー計算(CF計算書)

損益分岐点分析とキャッシュフロー計算書は、どちらも計算問題の反復練習をこなしておけば、得点源にできるところです。

これらが出題されたら確実に得点を上積みできるように対応しておきましょう。

為替、オプション

為替やオプションは、海外対応や輸出入の問題に絡めて、第4問などで出題されることがあります。
この分野は、他の問と独立した問題が多いですし、あまり捻った出題はなく、素直に解ける問題が多い傾向にあります。

ぜひ、為替・オプションも得点源にして欲しいと思います。

中小企業診断士二次試験事例4の勉強方法

ここでは、事例4の勉強方法について言及していきます。

事例4は、直前でも実力が伸ばせる分野

事例1~事例3は記述(論述)中心のため、短期間に集中して対策すれば、実力も短期間で上がる、というようなものではありません。

しかし、事例4は違います。事例4の計算問題は、短期間でも集中してやればやるだけ、実力がアップします。

二次試験の直前期には、事例4が苦手な人ほど事例4の対策を集中すれば、成果が上がりやすいといえるでしょう。

普段から、計算過程を書き残す訓練をしておく

前述のとおり、問2や問3では、「解法の計算過程を記せ」という設問が出る場合があります。

そのため、普段の過去問演習などから、わかりやすく計算過程を書く練習をしておきましょう。

普段、誰にも読めないような殴り書きで計算しておいて、本番だけ分かりすく書くのは難しいものです。

1点でも多く点数を積み上げるため、普段から計算過程をしっかりと、わかりやすく書く演習をしておきましょう。

効率的に電卓を使えるようにしておく

中小診断士二次試験では、一次試験と違い、電卓の持ち込み可能です。

そして、電卓を利用する際、かならずやって欲しいことは「利き手と反対の手で、電卓を操作する」ということ。

右利きの方は左手で電卓を叩き、左利きの方は右手で電卓を操作するようにすれば、試験中はずっと利き手で文字を書くことができるため、時間をロスすることがありません。

意外と、利き手の反対の手で電卓を打つ人はいないのですが、2~3日もあれば、すぐにマスターできるのでオススメですよ。

くわしくは、下記記事をチェックしてみてください。

中小企業診断士の試験で使う電卓
中小企業診断士の試験で使う電卓の選び方 ~おすすめの電卓はこれ!今回は、中小企業診断士試験で使う電卓についてです。 中小企業診断士の1次試験では電卓は使えませんが、2次試験では、会場に電卓(計算...

 

経営分析の勉強方法

第1問の鉄板の経営分析ですが、前述のとおり、あまりマイナーな経営指標ではなく、以下のようなメジャーな指標が使うほうがよいでしょう。

※逆にいえば、出題者も以下のような指標を使うことを想定して問題を作っています。

下記の経営指標の数値の求め方は、確実に身に付けておいてください。

収益性分析

・売上高総利益率
・売上高営業利益率

効率性分析

・総資本回転率
・固定資産回転率
・棚卸資産回転率

安全性分析

・自己資本比率
・流動比率
・当座比率
・固定比率
・固定長期適合率