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こんにちは、トシゾーです。
今回は、「中小企業診断士の転職事情」について、徹底的にご説明します。
中小企業診断士の資格は経営全般に関わる知識が求められる、難易度の高い資格です。
経営コンサルタントの国家資格とも言われ、経営についてアドバイスができる人材と国が認めているわけですから、この資格を手にすれば転職にも有利だろうと思えてきます。
中小企業診断士に合格するために必要な勉強時間は1,000~1,200時間と言われています。
これだけの時間とエネルギーを投入して勝ち取った難関資格ですから、フルに活用して転職や収入アップにつなげたいと思いますよね。
ただ、実際のところは「転職するために」とか「収入が上がるから」といった動機でこの資格を取った中小企業診断士の方はあまり多くはないようです。
どちらかと言えば、結果的に転職に有利に働いた、あるいは収入アップにつながっているというのが実態でしょう。
しかし、なんと言っても中小企業診断士は合格率4%~8%(1次+2次のストレート合格率)の難関資格です。
経営に関わる広範な知識を身に着け、ビジネス(経営)の構造を客観的にながめられる思考方法を手に入れたということです。
戦略的に考え、適切な機会を見つけていけば望む転職にも有利に活かすことが、間違いなくできるでしょう。
※この記事では「転職」について説明していますが、「副業」のほうに興味のある方は、「診断士の年収・副業事情」の記事も参考にしてください。
目次
難関資格の割に転職市場での評価が微妙な中小企業診断士?
各種「ビジネスマン向け資格ランキング」で上位の常連である中小企業診断士。
とはいえ、中小企業診断士は資格試験の難易度に比べて、そこまで多くの会社に幅広く求められる資格ではありませんし、転職市場で特別に高評価というわけでもありません。
※もちろん転職市場で一定の評価はありますが、あくまで「資格の難易度に比べて」という意味です。
この点については前に「診断士の年収事情・副業事情」の記事でも述べましたが、
- 中小企業診断士が実際に行っている活動の中身が多様である
- 社会的な認知が低く評価のしようがない(最近は一時期より知名度が上がってきていますが)
- 会社として活用する場があるかどうかわからない
といったことが理由になるでしょう。
資格取得者の年齢のボリュームゾーンが、40〜50代と中高年層であることも転職市場での資格のウェイトが相対的に低くなる一つの要因となっています。
中小企業診断士資格の求人はこんなところがある
そもそも、中小企業診断士は中小企業支援法に基づく国家資格です。
国の中小企業施策に基づく中小企業支援機関を窓口として中小企業の経営診断と経営に関する助言を行うというのが本来の目的です。
なので、中小企業診断士を求めているのは中小企業支援に関わる公的機関、また、経営の診断及び助言ができる人材であるということから経営コンサルティングに関わる業種ということになります。
転職のために中小企業診断士資格を取るのであれば、これらのコンサルティングに関わる業界を志望しているのかどうかがひとつの前提となるでしょう。
中小企業診断士資格を条件に転職の求人を出しているのは具体的には以下のようなところがあげられます。
転職先候補① コンサルティング会社
コンサルティング(コンサルタント)系の求人では大手有名コンサルティングファームから、中小のコンサル会社といったところまで様々。
大手のコンサルティングファームの中途採用の求人を見ると、前職の業界のスペシャリスト的な人材を求めている例があります。
転職においてその業界の知識をコンサルティング業務に活かすことができるかどうかが評価のポイントですから、業界でのそれなりの経験やポジションが問われることになります。
それに加えて、中小企業診断士の資格を取得することで、経営視点での分析や判断ができる裏付けができれば、有利に転職出来る可能性があります。
ただし、コンサルティング業界は資格など必要ない実力勝負の世界です。
大手のファームは学歴と実力が幅を利かせています。
MBA取得者がたくさんいるような職場に入っていく武器が、中小企業診断士資格のみではかなり心もとないと言えます。
中小のコンサルティング会社では専門領域や対象とする業種業界など千差万別なので、それに関連するバックグランドを持った上で中小企業診断士資格をプラスオンできれば、転職市場を有利に戦える可能性は高いでしょう。
転職先候補② 士業の事務所
士業関連の事務所が中小企業診断士の求人を出していることがあります。
会計事務所や税理士事務所は会計や税務分野で、顧客企業からの相談を受けます
その際に、より幅広く顧客のコンサルティングニーズに応えるために、それぞれの専門分野でカバーできない部分を中小企業診断士に求めているといったケースです。
もともと複数の士業資格者がいる大きめの事務所の場合が多いのですが、コンサルティング業界に比べると求人数は少ないようです。
転職先候補③ 公的機関
公的機関における中小企業診断士の求人は、地方経済産業局、都道府県の中小企業支援センター、都道府県の中小企業担当課、商工会議所・商工会などがあげられます。
また、国の特定の中小企業施策のなかで前記のコンサルティング会社や士業関連の事務所に加えて、信用組合が認定支援機関となってることがあります。
それらの認定支援機関である会計事務所、税理士事務所、信用組合が中小企業診断士を募集しているケースもあります。
ただ、これらの公的機関は、登録している中小企業診断士を活用する窓口となるポジションにあります。
なので、これらの中小企業支援を目的とする公的機関が中小企業診断士の求人を出す場合はプロマネや専門スタッフの場合が多いようです。
公的機関の数自体は民間のコンサルティング会社や士業事務所に比べると極端に少ないことから、中小企業診断士の求人数は限られます。
【参考】:一般企業
一般企業において、「中小企業診断士の資格者募集」を謳っている企業は、あまりありません。
しかし、中小企業診断士の資格取得を通じて獲得した経営戦略論、組織論、マーケティング、IT、財務、物流、店舗管理、経営法務などの知識は、様々な職種で評価されるので、転職の際のアピール次第では有力な武器になります。
また、経営戦略策定能力や各種ビジネスフレームワークを使いこなす能力は、企業の各部門におけるマネージャーにとって必須な能力と言えるでしょう。会社の経営構造を理解し、経営目線の考え方ができる人材として、管理職として採用されるケースもみられます。
中小企業診断士の資格について詳しくない経営者や担当者のいる企業もありますが、適切にアピールすることができれば、優秀な人材として歓迎されるでしょう。
年齢別で見る中小企業診断士の転職(求人)事情
次に、中小企業診断士の資格が転職に際し、どれくらい影響するのかを年代ごとに見ていきましょう。
中小企業診断士・20代の転職
20代のうちに中小企業診断士の資格を手にすることができれば、それを武器として転職市場においてかなり有利に働くと言えそうです。
20代の転職市場での評価要素は実績よりもポテンシャルにウェイトが置かれます。
一般的な事業会社では確かに中小企業診断士資格の認知度は高くはありませんが、中小企業診断士資格の合格率を示すだけでも、難関資格であることをわかってもらえるのではないでしょうか。
そんな難関資格に若くして挑んで結果を手にしたことは大きく評価される可能性があります。
転職先(求人元)に積極的にアピールすべきでしょう。
中小企業診断士・30代の転職
中間管理職としての経験も視野に入る30代は、転職にあたり前職での実績も求められます。
その点では20代よりも前職の職種や転職先により制限が多くなります。
中小企業診断士の資格を求めているのはコンサルティング系の会社、士業関連の事務所などが主なところです。
例えば、メーカーに勤めていた人が中小企業診断士資格を手にしてコンサルティング会社への転職を考えた場合に、採用側では「どれだけその業界に詳しいか」「その業界のスペシャリストととしてコンサル業務に活かすことができるか」といったことが評価の対象とされます。
自分の会社について、中小企業診断士の資格を得て始めてわかってくる部分も多かったりするので、異業種からコンサルティング業界に転職を考える場合は、診断士視点で会社や業界についての知識を磨いてみるなど、ある程度の準備期間を設けるのもひとつの方法でしょう。
中小企業診断士・40代~50代の転職
この年代の転職では、求職側と求人側の条件が一致することが難しくなってきます。
中小企業診断士に限らずマネジメント能力が求められる年代でもあり、前職での実績やポジションがよりシビアに見られることになります。
場合によっては取引先を持っていけるかどうかといったことが問われることもあるでしょう。
ただ、30代でも述べましたが経営を学ぶ中小企業診断士資格は、取得した時点で身についた知識が活きてくることがあり得ます。
その知識を活かして社内でのキャリアアップが実現できるレベルになれば、転職の芽が出てくる可能性が大いにあります。
地方や女性の診断士の転職(求人)事情
地方における転職(求人)事情
「都会より地方の方が就職は厳しい!」
そんな声をよく聞くかも知れません。しかし、中小企業診断士資格を持つ方は、都心部に比べ、地方の方が圧倒的に少ないです。
むしろ、診断士のように経営の分かる高度人材は、都心部より地方の方が狙い目の会社が見つかるケースが多いです。
さらに、就職・転職だけでなく、独立するにしても地方のほうが狙い目。診断士の数が少ないにも関わらず、地方にも一定の公的機関は存在しますから、公的機関を支援できる機会(倍率)は、都心よりも大きいといえます。
「将来、地域に根ざして経済活性化の役に立ちたい」
と考えている方は、診断士取得後に地方での活躍を考えるのもおすすめです。
女性における転職(求人)事情
中小企業診断士は経営のプロフェッショナルであり、男女で向き不向きが異なる資格ではありません。
しかし現在でも、女性の診断士受験生は男性の10%程度。歴史的に、男性の多い資格となっています。
そのため、逆に「女性の診断士にとってはチャンス」の状況であるといえます。
世の中には、様々な事業や経営者がいますが、化粧品やエステ、スイーツなど、女性の診断士に支援して欲しいと考えている業種・職種の方は少なくありません。
そんななか、圧倒的に女性の診断士は少ないわけですから、ご縁を結ぶ機会も大きくなるわけです。
これは独立だけでなく、転職や就職でも全く同じ。「女性×診断士」という特徴を押し出して、「希望の就職先にどのような貢献ができるのか」を訴求すれば、非常に希少性の高い強みとなるでしょう。
女性の中小企業診断士資格の活かし方等については、くわしくは以下の記事をチェックしてみてください。
中小企業診断士 転職後の年収
中小企業診断士の年収相場は、平均年収は700~800万円だと言われていますが、実際には、500万~1,000万円以上と幅があります。
20代の平社員が中小企業診断士の資格を取って転職をしても、すぐにマネージャーとして採用されるケースは多くありません。結果として、そんなに年収が変わらないケースが多々あります。
一方、30代~40代の中小企業診断士の資格保持者がコンサルティング会社に転職した場合、評価されれば、企業勤務でありながら年収1000万以上を目指すこともできます。
一般企業で働く場合、転職時年収・給与はあまり変わらなくても、資格を活用して社内での実績を少しずつ積み上げ、それと連動するように昇給させることになります。
特に大企業に転職する際は、転職後の実績次第で大きく年収が増加するポテンシャルがあります(前述の20代会社員の場合も同様です)。
中小企業診断士として持つ様々な知識を活用し、転職後にどれだけ活躍できるかが重要であることを肝に銘じて欲しいと思います。
中小企業診断士で人生が変わる?
結論から言えば、中小企業診断士になって転職しても、人生が変わるほどのインパクトはないでしょう。
ただし、勤務先で実績を積み、将来独立を目指すなら、それこそ「人生が変わる」ほどのインパクトを生み出せるかも知れません。
企業内診断士ではなく、独立診断士になった場合、年収の格差は更に大きくなります。前述の年間売上のデータでも確認しましたが、その差は300万~3,000万円になります。
成功した場合に年収が高額になりやすい理由としては、中小企業診断士の仕事は経費や原価が小さいため、売上の大半が年収になる、という点が挙げられます。
企業内診断士の場合、社内で大きな差はつきにくいですが、独立した場合は成果を上げた分、そのまま収入に反映されるのです。
そのため、独立・開業して、軌道に乗った中小企業診断士には、年収が1,000万~2,000万円、場合によっては3,000万円という方もいます。
※中小企業診断士を取って人生が変わる方法については、下記記事をチェックしてください。
中小企業診断士は、やめとけ、ってホント?
「中小企業診断士になっても食えないからやめとけ」
という人がいます。
なぜ中小企業診断士が食えないと言われるのでしょうか。それは、中小企業診断士には、 社労士や行政書士にはある「独占業務」がない、 というところから来ていると思います。
事実、中小企業診断士に「独占業務」と言われるものは無いです。
しかしだからといって食べていけないことはありません。
前述のとおり、中小企業診断士の平均年収については500万円から1,000万円の間と言われていますし、独立診断士に限って言えば、2,000万円~3,000万円以上という方も珍しくありません。
当然ですが、資格を取得しただけで仕事が降って来るほど甘い世界ではありません。
最初は、先輩のプロ診断士に営業ノウハウや技術を教わったり、一緒に仕事をこなしたり、紹介を受けたりしながら、自分なりの仕事の獲得方法を見つけていくことが必要です。
つまり、診断士としての能力だけでなく、営業力が必須なのです。適切な営業力があれば見込顧客となる中小企業者と出会えるでしょうし、顧客に満足してもらえるコンサルティング能力さえあれば 、喜んでコンサルタントを受け入れてくれるはずです。
もちろん、誰でも100%食える、というものではありませんが、「食えない」というデマには惑わされないようにしてください。
※以下は「診断士はやめとけ!」「診断士は意味がない」と言われることについて、徹底検証した記事となります。
中小企業診断士の転職<まとめ>
転職市場のなかでの中小企業診断士資格について見てきましたが、いかがでしたでしょうか?
中小企業診断士試験は難関ですが、試験に合格するのがやっとの知識レベルでは、残念ながら実務を深堀できるものではありません。
診断士試験の合格レベルは広範な知識を保持するものの、1つ1つの分野に関しては深くはありません。
実際、独立診断士の多くは、資格取得の前の職業(前職のバックグラウンド)の知識を武器に、戦略策定や資金調達、Webマーケティングや事業承継など、それぞれ独自の差別化がある専門性を構築されている方が大半です。
中小企業診断士の資格取得を契機に、現在勤務している企業に対する評価が変わったという方も多くいます。
また、著名な大手企業の企業内診断士が多くおり、そのような資格保持者の方々が企業の壁を越えてコミュニケーションを取ったり、コラボをされているケースも多々あります。
つまり、中小企業診断士の資格は、人脈を広げたり、活躍の場を発見するためのツールとして認識し、そのなかで自身の能力や専門性を高め、結果的に転職に繋げる、正しくて建設的なライセンスの使い方と考えます。
実際、転職だけでなく、独立・起業など、診断士ライセンスホルダーの進むべき道は様々です。
そして、そのきっかけを作るために、中小企業診断士協会まらびに各支部に設置されている研究会等に入会することで貴重な情報を獲得することもできます。
このように、中小企業診断士のキャリアアップやキャリアチェンジは、転職に限らず様々な可能性があるといえるのです。
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