こんにちは、トシゾーです。
中小企業診断士の中小企業経営・政策は、1次試験の2日目の最後に受験する科目です。
これが、なかなか手ごわい科目です。
と言うのも、中小企業に関する膨大な量の統計情報や法令、施策を、暗記することが求められるからです。
中小企業診断士の科目の中では、「暗記科目の代表」とも言える科目です。
もちろん、それらの情報は中小企業診断士として独立すれば必要になってくる情報ですので、きちんとマスターできれば、あとあと役に立ちます。
そうした情報を出来るかぎり効率的に学習していきましょう。
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目次
中小企業診断士 中小企業経営・政策 科目設置の目的
(科目設置の目的)
中小企業診断士は、中小企業に対するコンサルタントとしての役割を期待されており、中小企業経営の特徴を踏まえて、経営分析や経営戦略の策定等の診断・助言を行う必要がある。
そこで、企業経営の実態や各種統計等により、経済・産業における中小企業の役割や位置づけを理解するとともに、中小企業の経営特質や経営における大企業との相違を把握する必要がある。
また、創業や中小企業経営の診断・助言を行う際には、国や地方自治体等が講じている各種の政策を、成長ステージや経営課題に合わせて適切に活用することが有効である。
このため、中小企業の経営や中小企業政策全般について、以下の内容を中心に知識を判定する。
この科目の狙いは大きく2つあります。
1つは、中小企業の特性を理解して各種業務を行うために、中小企業経営の実態や各種統計資料にあたること。
※統計資料としては「中小企業白書」「小規模事業白書」から出題されます。
2つめは、国や地方自治体が提供する法律や各種政策を効果的に使いこなすため、それらの法や政策を正しく理解すること。
いずれも、中小企業診断士として活動するために必要な知識です。
中小企業診断士 中小企業経営・政策 科目の内容(概要)
中小企業診断士 中小企業経営・政策の出題範囲(その1) 中小企業経営
主に「中小企業白書」と「小規模企業白書」の内容から、中小企業を取り巻く環境と中小企業の現状に関わる統計データを学びます。
たとえば、以下のようなデータです。
- 製造業、卸売業、小売業、サービス業の企業数
- 中小企業の開業率・廃業率・倒産率
これらをきちんと把握することにより、中小企業の課題と現状をおさえることができるようになります。
中小企業診断士 中小企業経営・政策の出題範囲(その2) 中小企業政策
まず、中小企業基本法を中心とする、中小企業に関する法知識を学びます。
さらに中小企業をバックアップする国や政府(経済産業省、中小企業庁等)の提供する支援策(中小企業政策)の内容をおさえていきます。
試験時間と配点
科目 | 試験時間 | 配点 |
経済学・経済政策 | 60分 | 100点 |
財務・会計 | 60分 | 100点 |
企業経営理論 | 90分 | 100点 |
運営管理 | 90分 | 100点 |
経営法務 | 60分 | 100点 |
経営情報システム | 60分 | 100点 |
中小企業経営・政策 | 90分 | 100点 |
上の一覧にあるとおり、中小企業経営・政策は、90分で42問程度の問題を解きます。一問当たりの配点は2点~3点となります。
中小企業診断士 中小企業経営・政策 科目免除
中小企業診断士試験の中小企業経営・政策には、科目合格による科目免除があります。
科目合格による免除
前年または前々年に中小企業経営・中小企業政策の科目を受験し合格している場合には、科目免除の申請を行うことが可能です。
※科目合格による科目免除について詳しくは、下記記事を参考にしてください。
他資格等保有による免除
中小企業経営・中小企業政策には他の国家資格を保有していることによる科目免除はありません。
中小企業診断士 中小企業経営・政策 学習のポイント
中小企業診断士 中小企業経営・政策の勉強法
中小企業経営は「中小企業白書」「小規模企業白書」からの出題が多く、中小企業政策は中小企業基本法などの法律および「中小企業施策利用ガイドブック」に掲載されている施策から出題されます。
「中小企業白書」や「小規模企業白書」、「中小企業施策利用ガイドブック」は、いずれも全文が中小企業庁のWebサイトからダウンロードできますが、まず間違えてはいけないことは
- 前年度の中小企業白書から出題される
ということです。
中小企業施策利用ガイドブックも、その年から記載された新しい施策は、まず出題されません。その代わり、前年~前々年から作られたような施策について出題されやすくなっています。
これは、中小企業診断士の試験問題が、かなり早い段階で制作されていることが理由のようです。
(経営法務の法改正の出題タイミングと同じです)
いずれにしても、出題される年度の資料を間違えないようにして下さい。
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また、「中小企業白書」や「小規模企業白書」、「中小企業施策利用ガイドブック」は、一度は目を通した方がよいと思いますが、それらをすべて暗記しようとするのは、量が多すぎて非効率的です。
通学や通信講座のテキスト、独学用のテキストは、白書やガイドブックから重要な部分を専門家の目から見て抜き出していますので、そのテキストを徹底的に覚えた方が効率的です。
中小企業診断士 中小企業経営・政策の勉強時間
基本的には暗記科目であり、二次試験との関連も薄いですから、勉強時間は100時間程度でポイントを絞った学習が必要になります。
特に白書のように無機質な数値を覚える必要がある場合、長時間暗記を続けていると効率が下がります。
他の科目以上に、スキマ時間をうまく使って覚えることが望ましいです。
なお、中小企業診断士試験の勉強時間全般について詳しくは、下記を参照してください。
合格率から見た、中小企業経営・政策の難易度
中小企業経営・中小企業政策の過去8年の科目合格率は以下のとおりです。
H26 | H27 | H28 | H29 | H30 | R1 | R2 | R3 |
31.1% | 12.2% | 12.5% | 10.9% | 23.0% | 5.6% | 16.4% | 7.1% |
この科目は、暗記中心の科目のため、きちんと学習すれば得点が積みあがる傾向にあります。
そのため、合格率2桁%台で安定している年度が多いのですが、令和元年のように突然難易度がアップすることもあります。
「取り組みやすい科目」と安心せずに、しっかり対策をする必要があります。
中小企業診断士 中小企業経営・政策 学習時の注意事項
よいテキストがない場合、「図解要説 中小企業白書を読む 」を使う
「勉強法」のところでテキストの話をしましたが、よいテキストが見つからない場合、「図解要説 中小企業白書を読む 」を利用する手もあります。
こちらは、白書の内容を要領よくをまとめてありますので、おすすめです。
また、繰り返しになりますが、必ず受験年度の前年版のものを買ってくださいね。
問題の傾向は毎年変わる(一次試験科目の中で最大)
中小企業経営・政策の出題傾向の最大のポイントは、出題の内容が毎年大きく変わることです。
特に、中小企業経営で出題される「中小企業白書」「小規模企業白書」の統計データは、中身が毎年変わる訳ですから、出題内容が変わるのは当然といえます。
そのため、過去問も「どのような論点が問われるか」を参考にするのは良いですが、そこに記載されているデータの絶対値は参考にできません。過去問に掲載されている過年度のデータを覚えたりすることがないように気を付けましょう。
「中小企業白書」「小規模企業白書」は数字そのものではなく、傾向を押さえる
中小企業経営の問題では、「中小企業白書」「小規模企業白書」に掲載されている規模別・業種別の企業数や中小企業の開業率・廃業率・倒産率などのデータが問われます。
しかし、数字そのものを覚える必要はありません。
- 他の業種(規模)に比較して、当該業種(規模)の企業の数字は大きいのだろうか?
- 過去と比較して、数字は増えているのか、減っているのか、どのような傾向だろうか?
以上のように、全体集合の中における、大まかな傾向が問われます。
まずは過去問を見て、「どのような問われ方をするのか」について、しっかり理解をしてください。
1次試験の中小企業経営・政策と、2次試験との関連
中小企業診断士の中小企業経営・政策の科目は、直接、2次試験には関連しません。
しかし、将来の診断士活動に対しては、かなり関連のある資格といえます。
中小企業診断士1次試験 中小企業経営・政策 まとめ
中小企業診断士1次試験の中で、最終科目である中小企業経営・中小企業政策について、対策などをまとめました。
膨大な量の暗記科目なので、気の乗らない方もいると思います。
しかし、診断士になった後では非常に重宝する知識ばかりですし、統計数値の丸暗記などが多く、難しい理論などを理解する必要もありませんので、考えようによっては「実用的、かつ楽な科目」と考えることもできます。
スキマ時間などを上手く使い、要点を整理しつつ淡々と覚えていくことを習慣化してしまえば、あとはやるだけ得点が伸びます。
暗記中心なだけに直前までの足掻きが功を奏します。目標達成のために、2日目の最後の休憩時間まで問題集に使用して確認を続けるなど、決して悔いのないように尽力してください。
ぜひ、頑張って攻略して欲しいと思います。
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著者情報 | |
氏名 | 西俊明 |
保有資格 | 中小企業診断士 |
所属 | 合同会社ライトサポートアンドコミュニケーション |