中小企業診断士試験は、合格まで1,000~1,200時間も必要な難関試験です。
理由は、1日3時間勉強したとしても330~400日、1年かそれ以上かかる計算になります。
独学では、勉強のためのモチベーションを維持するのは、ちょっと大変ですよね。
そこで今回の記事では、「中小企業診断士試験の合格に役立つ、関連資格」を一覧にまとめてみました。
ご存知の方も多いと思いますが、中小企業診断士試験は範囲が広く、特に一次試験では7科目も出題されます。
そのため、それぞれの科目と出題範囲が被る、検定試験などが多く存在します。
さらに、そうした検定試験は、中小企業診断士試験より取得しやすいものがほとんどです。
つまり、比較的易しい検定試験などに合格していくことにより、中だるみすることなく、中小企業診断士試験に合格するための知識を積み上げていこう、という作戦が成り立つわけです。
この方法だと、万が一、中小企業診断士試験の短期合格が難しくなったとしても、関連する検定試験に合格しているので、キャリアアップが少しずつ進んでいる、というメリットもあります。
こうした関連資格には、具体的にどのようなものがあるのか、一緒に見ていきましょう。
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なお、中小企業診断士の合格に必要な勉強時間について詳しくは、下記の記事を参考にしてください。
また、中小企業診断士の独学のためのテキストについては、下記をチェックしてみてください。
中小企業診断士の関連資格を一覧にまとめてみた
そもそも、なぜ中小企業診断士の試験範囲は幅広いのでしょうか。
中小企業診断士は国が認める経営コンサルティングのプロフェッショナルの資格であるため、経営やビジネスに関する知識やスキルを幅広く身に付けて、中小企業の診断や経営者の相談に的確に応じる必要があるからです。
中小企業診断士の第1次試験の科目は全部で7種類で、具体的に学ぶ内容を見ていきましょう。
経済学・経済政策:「国民経済計算の基本的概念」「主要経済指標の読み方」「財政政策と金融政策」「国際収支と為替相場」など
財務・会計:「簿記の基礎」「企業会計の基礎」「原価計算」「経営分析」「利益と資金の管理」「キャッシュフロー」など
企業経営理論:「経営計画・管理」「企業戦略」「成長戦略」「経営組織の形態と構造」「マーケティング計画と市場調査」など
運営管理:「生産管理概論」「生産のプランニング」「生産のオペレーション」「店舗・商業集積」「商品仕入・販売」など
経営法務:「事業開始、会社設立及び倒産等に関する知識」「知的財産権に関する知識」「取引関係に関する法務知識」など
経営情報システム:「情報処理の基礎技術」「データベースとファイル」「通信ネットワーク」「経営戦略と情報システム」など
中小企業経営・政策:「経済や産業における中小企業の役割、位置づけ」「中小企業の経営特性と経営課題」「中小企業に関する法規と政策」など
上記7科目のうち、中小企業経営・政策以外の科目には、出題範囲がかぶる検定などの資格が存在します。
それらの資格を以下でご紹介しますので、興味がある資格があれば、取得を考えてみてください。
関連資格(1) 経済学検定(ERE)
経済学検定は、大学の経済学部の学生や一般社会人などが受験する資格(検定)です。経済学(理論)の基礎知識や、実際の経済状況において理論を応用できるかどうか、という能力のレベルを判定する試験です。
なお、経済学検定は合格・不合格ではなく、7段階のレベルでの測定となります。
中小企業診断士の経済学・経済政策に合格するためには、上から2~3番目のレベルには入っていたいところです。
関連資格(2) 日商簿記検定
簿記とは、企業の経営活動を金銭価値に置き換え、その記録や計算をとおして、企業の経営および財政の状況を分析するスキルです。
日商簿記検定は、この簿記の習得度を図る試験になります。
中小企業診断士を目指すに当たり、「財務・会計」の科目は最重要と言っても過言ではありません。
第1次試験と第2次試験の両方に出題されますので、「財務・会計」の知識は合格を左右しますね。
したがって、日商簿記検定を取得していると中小企業診断士の試験対策で大きなアドバンテージになるのです。
忙しい人は3級のみでもOKですが、2級の資格があれば中小企業診断士の「財務会計」科目の学習において、大きく有利になります。
ただし、日商簿記検定の2級の合格にはかなりの労力がかかりますので、中小企業診断士の資格取得がメインの人はあまり深入りしない方が良いです。
※簿記2級については、以下の記事も見てみてください。
関連資格(3) ビジネス会計検定
ビジネス会計検定は、財務諸表(貸借対照表、損益計算書、CF計算書等)に関する知識および分析能力を計る検定です。
ビジネス会計検定を取得するメリットをいくつか挙げてみました。
- 試験勉強を通して企業の財務諸表を正しく読むスキルが身に付く
- 成長性や儲ける力、株価と利益の関係など企業分析に必要な知識を学べる
- 様々な部門の日々の業務で実際に役立てられる
ビジネス会計検定で学ぶ知識は、中小企業診断士の第2次試験に繋がります。
2級のビジネス会計検定を取得した上で中小企業診断士の試験対策を始めれば、スムーズに勉強が進んで資格合格に一歩近づくでしょう。
関連資格(4) 経営学検定/マネジメント検定(中級・初級)
経営に関わる基礎的かつ専門的なスキル・ナレッジを保持しているか、さらに、それらの応用として、マネジメント(経営管理)の能力やロジカルシンキング(問題解決)の能力が、ある程度の段階にあることを認定する検定です。
マネジメント検定の出題分野は以下のとおりです。
- 初級:「企業システム」「経営戦略」「経営組織」「経営管理」「経営課題」(5科目)
- 中級:「マネジメント」「人的資源管理」「経営法務」「マーケティング」「IT経営」「経営財務」(6科目)
関連資格(5) 販売士資格
販売士資格(リテールマーケティング検定)は、店舗等の販売現場の従業員(販売員)等に必須のマーケティング知識やスキルなどを保持しているか、認定する資格です。
店舗の現場での販売時に必要とされる販売スキルや商品知識、仕入れや在庫管理を中心により高度で専門的な知識を持つ人材を育成する目的で販売士資格は作られました。
中小企業診断士の1次試験の運営管理は、販売士資格の試験範囲と丸被りです。
店舗ビジネスを展開する会社では、中小企業診断士と販売士資格を持つ人材が重宝されますよ。
中小企業診断士の関連資格として何か取得したいのであれば、2級の販売士資格で十分でしょう。
転職でのスキルアップや独立を考えるなら1級の販売士資格は欲しいところですが、他の資格よりも比較的易しめですのでチャレンジする価値はあります。
関連資格(6) ビジネス実務法務検定3級・2級
あらゆる業種・職種で必須となる法律全般の知識が学べる検定です。
たとえば、取引先と契約を締結する際、あらかじめ不備な記載や不利益な条項の有無をチェックし、正しく修正することにより、法務リスクを避けることができます。
このように、この試験ではビジネスの実務に繋がる法務知識を獲得することができ、出題範囲の多くが中小企業診断士の「経営法務」と重なっています。
関連資格(7) ITパスポート
ITパスポートは、情報処理資格の入門とも言える存在です。
ITパスポートの資格を取得すると、「パソコンの内部の構成を理解できる」「ITに関する幅広い知識を身につけられる」という魅力があります。
中小企業診断士の科目の経営情報システムではITに関する内容も出題されますので、ITパスポートは関連資格の一つというわけですね。
ITパスポートの資格試験は、次の3つの分野に大きくわけられます。
- 企業活動や経営管理に関する知識が問われるストラテジ(戦略)系
- 開発技術やプロジェクトマネジメントなどのマネジメント(管理)系
- コンピュータの基礎理論やコンピュータシステムについて問われるテクノロジ(技術)系
ストラテジ系の分野では、企業活動を行うための概念が含まれています。
つまり、中小企業診断士とITパスポートの2つは、とても相性の良い資格なのです。
※ITパスポートについては、以下の記事もご参考ください。
中小企業診断士を受験する方は文系の方が多く、情報処理などの理系科目が苦手な方もいるでしょう。そんな方におすすめなのが「理科検定」です。
「理検」理科検定(実用理科技能検定)は理科の学習者を積極的に顕彰・評価し、日常生活に役立つ科学的な知識やものの見方を高め、次代を担う技術や地球環境の維持に必要な基礎力を養います。
中小企業診断士の関連資格を取得するメリットとデメリット
中小企業診断士と関連する資格がたくさんあるとおわかり頂けたのではないでしょうか。
ここでは、関連資格を取得するメリットとデメリットを考えてみましょう。
まずメリットです。冒頭で書いたことと重複しますが、
・中小企業診断士は資格取得までが長丁場になるため、中だるみを避けつつ能力を高められる
・万が一、中小企業診断士が取得できなくとも、関連資格を取得しておけばキャリアアップにつながる
ということになります。
一方、デメリットには、以下のようなものがあります。
・関連資格には、少なからず中小企業診断士の出題範囲外のことも出題されるため、その勉強をする時間が必要(=中小企業診断士に最短で合格したい方には向かない)
・関連資格を受験するのに費用がかかる(テキスト代・受験料など)
関連資格を取得したい方へのアドバイスと体験談
以下では、私の経験から簿記を目指す受験生のためのアドバイスと体験談を記します。
簿記という資格は税理士等とは違い国家資格ではなく検定試験です。しかし、経理や税務に関する専門知識を持つことを証明するもので、多くの受験生にとって非常に魅力的な資格です。今回は、簿記資格取得のためのカリキュラムや過去問、オンライン学習の活用方法などについて、全国の受験生に向けたアドバイスをお届けします。
簿記資格取得の概要
簿記資格を取得するためには、特に一定の学歴や実務経験が求めらるわけではありません。基本的に簿記2級と3級を同時に取得することも可能です。、大学で関連する科目を修了したり、国家試験に合格する必要などはありません。とはいえ2級以上になるとこの試験は難易度が高く、多くの受験生が苦労する部分です。しかし、適切な準備と計画を立てることで、合格率を上げることが可能です。
過去問試験の活用
簿記に合格するためには、過去問の活用が非常に重要です。過去問を解くことで、出題傾向や問題の難易度を把握することができます。過去の事例や体験記を参考にすることで、どのような対策を講じるべきかの指針が得られます。
オンライン学習とMBA
最近では、オンラインでの学習が普及しており、忙しい人でも効率的に勉強することができるようになりました。例えば、YouTubeや各種オンライン講座を利用することで、自分のペースで学ぶことが可能です。また、簿記に関連するMBAプログラムもあり、ビジネスの視点から税務を学ぶことができます。
受講前の準備とアドバイス
簿記試験の受講を考えている方には、まずは受験生の体験談や事例を調べることをお勧めします。これにより、どのような勉強法が効果的か、どの程度の時間を割くべきかが見えてきます。また、専門家や人事のアドバイスを受けることで、より具体的な学習計画を立てることができます。
専門家の監修と研修の重要性
の学習においては、専門家の監修を受けた教材や研修プログラムを利用することが非常に有効です。これにより、最新の情報や最適な学習法を取り入れることができます。また、定期的な更新を行うことで、常に最新の知識を持ち続けることが重要です。
簿記検定も2級や1級の取得は決して簡単な道のりではありませんが、適切な準備と努力をすれば必ず達成可能です。オンライン学習や過去問の活用、専門家のアドバイスを取り入れることで、効率的に学習を進めることができます。
まとめ
中小企業診断士の関連資格は、「経済学検定」「日商簿記検定」「ビジネス会計検定」「経営学検定/マネジメント検定」「販売士資格」などたくさんあります。
中小企業診断士の資格の勉強に合わせ、これらの資格を取得することには、前述のとおり、メリット・デメリットの両方があります。
「なによりも、中小企業診断士試験に最短合格!」という強い気持ちをお持ちの方は、関連資格の取得については、おすすめできません。
しかし、それ以外の方は、メリットも大きいので、関連資格の取得について、検討の価値があるでしょう。
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著者情報 | |
氏名 | 西俊明 |
保有資格 | 中小企業診断士 |
所属 | 合同会社ライトサポートアンドコミュニケーション |
【参考】本記事の執筆にあたり、以下のWebサイトの統計データを参考にしました。
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