こんにちは、トシゾーです。
「中小企業診断士の資格を取って、コンサルタントとして独立したい!」
と考えている方は多いものの、
「独立したら、どれぐらい稼げるのだろう?」
「独立したら、本当にうまく行くのかな?」
と不安も尽きないことと思います。
そこで今回の記事では、
- 独立した場合の現実
- 独立して成功するための方法
について、具体的な報酬(年収)や独立準備の進め方などを交え、実際に独立診断士である管理人が徹底的に解説します。
独立して成功を目指す方、ぜひ参考にしてください!
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目次
独立した中小企業診断士の仕事
独立した中小企業診断士の中核となる業務は「中小企業に対する経営コンサルティング」で間違いないものの、実際には、他の国家資格(士業)と比べ、驚くべきほど多彩な業務に進出しています。
かくいう私も、独立してからは企業分析・経営改善提案スキルを活かしつつ、Webコンサルティングを中心に、お客様へサービスを提供しています。
他にも、知り合いの独立系中小企業診断士のなかには、コンサルティングは一切行わず、企業研修に特化した活動を行っている方もいます。
なぜ、士業の中でも中小企業診断士だけが、このように独立後に業務のバリエーションを拡げていったのかと言えば、それは「独占業務がない」ことに関係しています。
独占業務がないと、独立してから大変?
社労士(社会保険労務士)や司法書士といった資格には「独占業務」がありますが、中小企業診断士にはありません。
そもそも、「経営コンサルタント」は誰にでも名乗ることができますし、資格を持っていなくても経営コンサルティングを行うことはできます。
もちろん、中小企業診断士は「経営コンサルタントとして唯一の国家資格」であり、その信頼性は高いですが、
「独占業務」という法の後ろ盾がない訳ですから、無資格者を含めた多くの競合の方々のなかから、実力で仕事を取る必要があります。
そのため、独立した中小企業診断士は、自分の強み(主に前職の経験分野など)を活かしながら、それぞれがアメーバーのように自分の生存領域(報酬を取れる事業領域)を拡大させていく、というのが実情です。
独立開業後の業務
独立診断士のベースとなる業務は、「視る」「話す」「書く」の3つの分野です。
視る=コンサルティング
まず「視る」とは、コンサルティングや診断業務のこと。
これには、国や地方自治体、商工会・商工会議所などが実施する中小企業支援を担う専門家業務などが挙げられます。
一方で、民間のコンサルティング業務を行う者も多くいます。
公的業務と民間業務それぞれに特化する独立診断士もいますし、両者を手掛ける者もいます。
なお、中小企業診断士の公的業務・民間業務には次のようなものがあります。
- 公的業務:行政機関や中小企業支援センターから委託されて中小企業の経営者の相談に乗る窓口相談や、企業訪問でコンサルティングする専門家派遣など
- 民間業務:中小企業に対してのコンサルティング業務で、「事業計画の策定支援」「金融機関からの融資の支援」「マーケティングのコンサルティング」など
話す=講師業
つづいての「話す」とは、セミナーや研修の講師業のことです。
中小企業診断士は、その受験のプロセスにおいて、ビジネスに関する広範な知識を習得します。
その知識を使って、独立後に民間の企業内研修や公的機関の開催するセミナーなどを受注する方もいます。
ただし、講師業は競合も多く、簡単な道ではありません。
独立当初は実績もないので、なかなか受注も得られません。まずは単価の低い、公的な講師などから始め、少しずつ実績と信用を作っていくことが必要です。
※具体的な企業研修やセミナーには次のようなものがあります。
- 企業研修:中小企業診断士の論理的な思考を活かし、ロジカルシンキングや問題解決、マネジメント、チームビルディングなどに関する研修を行う
- セミナー講師:商工会・商工会議所が開催する経営者向け・起業希望者向けセミナーなどを行う
- 資格講師:中小企業診断士の受験専門機関や養成課程、大学や専門学校でセミナー資格講師として活躍する
書く=執筆
最後の「書く」は、原稿の執筆です。
ビジネスに関する専門分野のテキストや雑誌の寄稿、書籍の執筆などが挙げられます。
私も、独立当初は、資格受験校のテキストや過去問解説などを執筆していました。独立当初は仕事も安定しない一方、受験勉強の知識はしっかり残っているので、受験校の業務に携わる方も多くいます。
独立開業を目指す方は、合格後をイメージしましょう
以上のように、3つの独立後のベースとなる業務がありますが、
実際には、いずれかの業務に特化する者、それぞれをバランスよく実施する者など、業務との関わり方は人それぞれ。
試験に合格後、独立・開業を目指す方は、「自分はどのような業務に関わっていきたいのか」を、時々イメージして、試験の学習に対するモチベーションに繋げましょう。
中小企業診断士として起業して独立するメリットは?
中小企業診断士として独立すると次のようなメリットがあります。
- 顧客やクライアントから支払われる報酬が全て自分の収入になるため、サラリーマンでは実現できないような高収入を狙える
- 自分の強みやスキルを活かしながら、好きな仕事と携わることができる
- 顧客やクライアントに直接関与するため、成果を出せばおおいに感謝してもらえる
- 自宅を事務所代わりにすることで、他の事業と比較して、初期費用をかけずに業務を始めることができる
企業に勤務するケースと比べると、独立した場合は不安定な生活となります。
しかし独立へ一歩踏み出し、軌道に乗れば、上記のようなチャンスが広がります。
不安を乗り越え、チャレンジする気持ちがある方は、独立・開業は非常に魅力的な選択だと言えるでしょう。
中小企業診断士として起業して独立するデメリット
独立するに当たり、次のデメリットがありますので注意しましょう。
- 独立するまでに中小企業診断士の仕事と携わっていないと人脈がないため、仕事を獲得するのが難しい
- 会社員時代と比べてみると収入が安定しない(収入がゼロになるリスクもある)
- 事業者として営業から経理まで全てを自分でこなす必要がある(細々とした雑務が多い)
前述のとおり、中小企業診断士は独占業務がないため、どうしても診断士に依頼しないといけないという社会的なニーズが乏しいのです。そのため、独立して仕事を獲得するのは意外と難しくなります。
「独立すればすぐにマイペースで働きながらお金を稼げる」とイメージしていると、独立した後に失敗しやすいので気を付けてください。
中小企業診断士が独立する割合は?
最新の統計は取られていないのですが、中小企業診断士のうち、独立されている方(プロコンなど)は30~40%程度と言われています。
他の士業と比べ、資格を取得して独立する割合が小さいのですが、これは以下2つの理由によるものです。
- 独占業務がないため、独立を躊躇する
- 資格自体がビジネス・プロフェッショナルのスキルを獲得できる資格であるため、「現在働いている会社で、資格取得で得たスキルを使いたい」というニーズがある
企業内診断士が多いものの、独立して活躍している中小企業診断士も一定数いることが分かります。
独立後の年収は?
中小企業診断士の平均年収は約700~800万と言われています。(独立と非独立を含めた金額)。
このうち、企業内診断士は500万~1,000万円の範囲内にほとんどの方が入ると言われています。
一方の独立系中小企業診断士は、年収の幅が300万~3,000万円と極めて広いのが特徴です。
やはり、独占業務がないだけに、顧問契約や定期的な業務が取れないと、満足できる収入を得られないケースもあります。そのため、独立する際は、ある程度の蓄えを持っておくことも必要です。
一方で、独立して成功すれば、通常のビジネスマンには決して無理な金額の年収を手に入れることも、夢ではありません。
中小企業診断士としての独立には、大きなロマンがあるといえるでしょう。
中小企業診断士の年収については、下記記事も参考にしてみてください。
独立するのに向いている方
独立するのに向いている方は、以下のような人です。
独立に向く方①:何事にもチャレンジでき、フットワークが軽い方
中小企業診断士は経営コンサルタントの国家資格ですが、ずっと机にかじり付いていれば良い、というものではありません。
特に駆け出しの頃は、自宅や事務所で待っていても、決して仕事は舞い込んできません。
先輩や中小企業診断士仲間、見込み顧客が集まる会合へ顔を出す、ホームページやブログを作って情報発信をするなど、あらゆる活動を通じて機会を作り、案件に結び付けていきます。
リスクが大きい仕事だからこそ、自分の頭で考えて積極的に動くチャレンジ志向と、すぐに実行に移すフットワークの良さが重要です。
独立に向く方②:物事をポジティブに考えられる方
独立すると、不安定かつリスクのある状況になります。
アテにしていた案件が消滅したり、取引先が倒産したり、中小企業の世界では予測できない状況は珍しいことではありません。
そのようななかでも、ポジティブに考え、次の一手を打てる方が独立に向いています。
独立に向く方③:物事を客観的に分析できる方
中小企業診断士として独立して成功するためには、物事の全体像を掴み、客観的に分析できる力が必須です。
中小企業診断士として経営コンサルティングをしていくなかでは、クライアントの状況を的確に判断し、全体最適の観点から分析を行うことが求められます。
多くの方と協働できる組織と違い、独立した中小企業診断士は個人ですべてを判断しなければなりません。
表層的な対象に囚われることなく、全体を掴んだうえで本質を見極め、多面的な分析を行う能力が求められます。
独立に向く方④:人を巻き込む力のある方
中小企業診断士は、顧客の課題を解決するために、様々な専門家とコミュニケーションを取り、巻き込んでいく力が求められます。
特に、顧客企業と顧問契約をした場合などは、顧客の課題に応じて、弁護士・行政書士・社労士・司法書士・ITベンダーなど、多様な専門家と顧客を橋渡しする必要があります。
「独立した経営コンサルタント」というと一匹狼的なイメージがあるかも知れませんが、コミュニケーション能力が高くないと、いずれ行き詰ることにもなりかねません。
好奇心が強く、人と関わるのが好きな方が、向いている仕事といえます。
独立に向く方⑤:コツコツを仕事を積み上げられる方
小さな依頼であっても丁寧に取り組むこと・・・・これが出来ない方は、独立系中小企業診断士に限らず、どんな職業であっても成功できません。
今、目の前にある仕事に全力を注ぐ・・・この繰り返しにより、顧客から「仕事が丁寧で信頼できる人だ」という評価を得られ、リピートに繋がります。
成功している中小企業診断士は、どんな仕事にも手を抜かない方であり、それ以外に顧客の信頼を獲得する方法はありません。
中小企業診断士として独立するまでの流れ
試験に合格するまでの流れ
中小企業診断士試験は、1次試験(筆記試験)・2次試験(筆記試験・口述試験)に合格し、その後、実務従事または実務補習を修了して、はじめて中小企業診断士として登録(経済産業大臣への登録)が可能となります。
上記以外に、1次試験に合格してから養成課程へ進むことによっても、登録可能です。
※中小企業診断士の試験制度の詳細については、下記記事を参考にしてください。
※中小企業診断士試験に合格までに掛かる費用については、下記記事を参考にしてください。
※中小企業診断士の実務補習や実務従事については、下記記事を参考にしてください。
※中小企業診断士の養成課程については、下記記事を参考にしてください。
試験に合格後、独立するまでの流れ
見事試験に合格後、資格を活かして独立したい方のために、起業するまでの大まかな流れをまとめてみました。
- 現在の会社を円満退社する(中小企業診断士の仕事をしていた人は、何らかの縁になって自身の仕事に繋がる可能性がある)
- 事業を開く場所を確保する(自宅兼オフィスにするのか、新たに事務所を借りるのか考える)
- 事業を開始した1ヵ月後以内に管轄の税務署の窓口や郵送で開業届を提出する
起業自体はそこまで難しいものではありませんが、中小企業診断士として独立するには初期費用がかかります。
自宅をオフィスの代わりにしても、「デスク、椅子などの備品」「パソコンと周辺機器」「名刺や社名の入った封筒」「ホームページやブログの開設費用」「広告宣伝費」は必須ですね。
開業した当初は仕事を獲得できなくて利益を出せない可能性がありますので、事業の運転資金もきちんと用意しておきましょう。
※中小企業診断士の資格登録費用や登録後の資格維持費用については、下記記事を参考にしてください。
独立して成功するコツ
独立し、成功する人と失敗する人の違いは実績と人脈です。
起業して独立している中小企業診断士の半数以上は、業界経験が15年以上あります。
それだけ実績や人脈が重視される業界ですので、成功したい方は民間の会社で企業内診断士として経験を積むことから始めてみましょう。
資格を取得して即独立してやっていくのは難しいのですが、企業内診断士として働いて実績を残し、同時に各種研究会や定例会に参加したり情報交換会に顔を出したりすると人脈が広がっていきます。
集客する仕組みを構築しておくのは、中小企業診断士として独立する上で欠かせません。
実際に中小企業診断士として独立してからは、下記のように新規顧客を獲得する努力が必要です。
- 必要に応じてダブルライセンスを取得して自分に何ができるのか顧客にアピールする
- 訪問による営業やネットワークの活用など、様々な営業スタイルに取り組む
- ホームページやSNS(facebook、twitter等)を有効活用して自分からターゲットに向けて情報発信をする
待っているだけで仕事は増えませんので、率先して行動を起こすのが成功の秘訣だと言えるでしょう。
独立当初は、中小企業診断協会を使い倒す!
特に、中小企業診断士となったばかりの人は、任意加入団体の中小企業診断協会に入会し、診断士同士のネットワークを作ることで、様々なメリットがあります。下記記事を読んで、検討してみてください。
中小企業診断士として独立した当初は大変ですが、自分のできることからコツコツと始めてみてください。
独立を考えている中小企業診断士はダブルライセンスも有効
上記の項目でも軽く説明しましたが、中小企業診断士としての独立を成功させたいのであれば、ダブルライセンスも検討してみましょう。
中小企業診断士は企業経営の業務と幅広く関わっていますので、単独でも有効な資格です。
しかし、様々な資格と組み合わせてダブルライセンスになれば、業務の幅を更に広げて他の中小企業診断士と差別化を図ることができます。
以下では、中小企業診断士と合わせて取得したい資格をいくつか挙げてみました。
- 宅建⇒顧客目線で不動産の戦略を考えられるのは大きな強みになる
- ファイナンシャルプランナー⇒資金計画や事業承継に焦点を当てたアドバイスができるようになる
- 行政書士⇒創業時の立ち上げから経営コンサルティングまでワンストップのサポートができる
- ビジネス会計検定⇒財務諸表分析についてより深い知識を習得できる
中小企業診断士のダブルライセンスについては、こちらの記事でも解説していますので、一度目を通しておきましょう。
【参考】中小企業診断士の資格は、一般の独立や起業にも役立つ
最後に、「一般事業で起業や独立・開業する際に、中小企業診断士の資格は有効か?」という点について言及しておきます。
実際、中小企業診断士としての独立や就職・転職のためではなく、起業して独立することを目指して資格の取得を目指す方は少なくありません。
「中小企業診断士の資格は起業に役立つの?」と疑問に思う方も多いと思います。
試験に合格して資格を取得し、自分でビジネスを立ち上げて独立できるのか気になるところですよね。
どのような事業を経営していくのかで多少異なりますが、結論から言えば、中小企業診断士は起業に役立ちます。
起業して事業を成功させるには、経営に関する様々な知識やスキルが必須です。
中小企業診断士の試験勉強をして資格を取得すると、下記のように経営に関する幅広い知識を得ることができます。
企業経営理論:経営戦略(事業計画)を立てたりマーケティング計画を実行したりする
財務・会計:会計(アカウンティング)や資金調達(ファイナンス)の方法について知る
運営管理:店舗の販売管理や生産管理について知る
経営情報システム:情報システムを活用する
経営法務:会社法を始めとした企業経営に関する法律について知る
経済学・経済政策:基本的な経済的概念を理解する
中小企業経営・政策:利用できる補助金や制度などを知る
第1次試験で上記の7科目を突破し、第2次試験では企業を診断してアドバイスする能力が問われます。
つまり、起業の方法からコツまでをきちんと理解できますので、中小企業診断士は取っておいて損のない資格なのです。
まとめ
ここまで、中小企業診断士として独立した場合の実情、独立のメリットとデメリット、独立して成功する方法などのポイントについて確認してきました。
独立開業して1,000万円以上の収入を得ている方は多くいますが、経営を安定させるにはそれなりの覚悟とスキルが必要です。
企業内診断士とは違い、自分から積極的に営業をしないと仕事を確保することができません。
中小企業診断士として起業して成功するのは険しい道ですが、目標を明確にして自分のビジネスを確立するビジョンを描いてみてください。
【本記事執筆にあたり参考にさせて頂いたサイト様】
著者情報 | |
氏名 | 西俊明 |
保有資格 | 中小企業診断士 |
所属 | 合同会社ライトサポートアンドコミュニケーション |