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中小企業診断士とは?
中小企業診断士とは、中小企業の様々な経営上の問題・課題を解決するために診断や助言(コンサルティング)を行う国家資格です。
ビジネスパーソンが新規に取りたい資格ナンバーワンに中小企業診断士はランクインしていますね。
中小企業診断士の資格を取るメリットには、どんなものがあるのか見ていきましょう。
- 資格の勉強をする過程で経営の診断や解決策の立案方法について学べる
- 社内で新しいプロジェクトを担当したり責任のある仕事を任されたりと信頼が増す
- 試験合格後の中小企業診断協会や研究会で人脈を広げられる
知識を身につける過程で自然と仕事内容が広がりますので、国家資格の中小企業診断士を取得して損はありません。
中小企業診断士試験の内容
中小企業診断士の試験内容は、次の第1次試験と第2次試験に大きくわけられます。
中小企業診断士の試験内容 | |
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第1次試験 | 企業経営やコンサルティングの基本的知識を問う試験で、マークシート形式で実施される |
第2次試験 | 企業の問題点や改善点を回答する応用的な試験で、筆記試験と面接試験で実施される |
第1次試験に関しては、「経済学/経済政策」「財務会計」「企業経営理論(戦略、組織、マーケ)」「運営管理(生産、店舗、販売)」「経営法務」「経情システム」「中小企業経営/政策」の7分野です。
試験時間と配点
科目 | 試験時間 | 配点 |
経済学・経済政策 | 60分 | 100点 |
財務・会計 | 60分 | 100点 |
企業経営理論 | 90分 | 100点 |
運営管理 | 90分 | 100点 |
経営法務 | 60分 | 100点 |
経営情報システム | 60分 | 100点 |
中小企業経営・政策 | 90分 | 100点 |
どれも一般的な企業の組織や業務内容と深い関わりがありますよ。
一方で第2次試験は、中小企業診断士になるに相応しい応用能力を有しているのかどうかを問う筆記試験と面接試験です。
※2次試験について詳しくは、下記の記事を参考にしてください。
第1次試験と第2次試験に合格し、実務補習を受けるか、または診断実務に従事すると晴れて中小企業診断士として登録できます。
しかし、中小企業診断士の第2次試験の合格は必須ではありません。
第1次試験に合格した後に養成課程へ進むことでも、中小企業診断士登録ができる仕組みです。
中小企業診断士の仕事内容
中小企業診断士になると何ができるのか、仕事内容について見ていきましょう。
- 経営の診断や事業計画に対する助言・相談など経営者へのアドバイス
- 企業の経営に関する様々な分野の研修やセミナー、講演活動
- 上記に係る書籍やテキストの原稿執筆
独立開業している独立診断士と特定の企業に勤務中の企業内診断士では業務内容は異なるものの、いずれも経営に関するアドバイスやコンサルティング業務が得意な点は同じでしょう。
中小企業診断士の資格がなくてもコンサルタントになれる
経営コンサルタントは戦略策定やオペレーション業務改善など、企業の課題・問題の解決に向けてコンサルティングを提供しています。
中小企業診断士は民間の経営コンサルタントにおける唯一の国家資格です。
しかし、中小企業診断士の資格が無くともコンサルタントになることはできます。
コンサルタントと名乗るに当たり、資格・年齢・実績などの明確な基準はありません。
求人募集があれば誰でも仕事に就くことができますし、自ら経営コンサルタントとして起業するという選択肢もあります。
それでも、コンサルタントは高度で幅広い知識や経験が必要ですので、経営分野の知識の基盤となる資格を持っていた方が有利です。
中小企業診断士の資格を取得していなくても、次の資格や称号で業務をこなすことはできます。
経営コンサルタントとして役立つ資格 | |
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公認会計士 | 会計と監査の専門家で企業経営について広い専門知識を持っている |
経営士 | 経営管理に関する専門知識で企業の業績の向上に貢献する資格 |
MBA(経営学修士) | 経営学の大学院修士過程を修了すると与えられる称号 |
特定の資格を持っていれば、より深い目線でコンサルティングができるようになるでしょう。
中小企業診断士の資格があった方がコンサル会社の就職・転職に有利とは一概に言えません
「中小企業診断士の資格を持っているとコンサル会社への就職や転職に有利になるの?」と疑問を抱えている方はいませんか?
取得するのが難しい資格ですので、各人の専門スキルを磨くことで「戦略系コンサル」「組織人事コンサル」「財務コンサル」など様々な分野で評価されます。
ただし、「中小企業診断士さえあればコンサル会社の就職や転職市場で優位に立てる」という考えは間違い…。
コンサル会社への就職や転職では、グループディスカッションやケース面接で実際の能力を見ていきます。
知識以外の要素が意外と大きいため、中小企業診断士の資格だけで無条件で採用してくれる会社はありません。
つまり、「プラスアルファの要素として中小企業診断士の資格が評価される」という点を心得ておくべきです。
未経験からでもコンサルタントになれる!
上記の項目でも軽く解説しましたが、未経験からでもコンサルタントになることができます。
それはコンサルタントになるに当たり、絶対に取得すべき資格がないのが理由です。
ここ数年間で日本のコンサルティング市場は順調に拡大していますので、未経験者に対する需要が高い状況も続きますよ。
しかし、コンサルティングファームにとっては人材が命ですので、誰でも採用しているわけではありません。
採用基準を緩めてコンサルタントの数を増やそうとする会社は少ないため、未経験者がアピールするには中小企業診断士などの資格が役立ちます。
経営に関する様々な専門知識を持っていれば、未経験でもコンサル会社への就職や転職は可能です。
中小企業診断士の資格の将来への活かし方
今の日本の企業は、「生産性の低下」「働き手の不足」「悪化する雇用環境」など様々な問題や課題を抱えています。
そのため、中小企業の課題解決のサポートやアドバイスを行う中小企業診断士は頼りになる存在です。
しかし、税理士や社会保険労務士など他の国家資格とは違い、中小企業診断士にのみ許された独占業務というものがありません。
つまり、中小企業診断士のメリットを将来に活かすには本人次第と言えます。
中小企業診断士の将来への活かし方の一つが独立開業です。
中小企業診断士の資格や今までの経験を活かして経営コンサルタントの事務所を開けば、都道府県や商工会議所からコンサルタント業務を受注できます。
経営コンサルティングだけではなく、講演活動や執筆活動で活躍の幅を広げている方は少なくありません。
企業内診断士として働くのが良いのか独立してコンサルタント業務を行うのが良いのか、自分の将来を考えてみてはいかがでしょうか。
コンサルタントの関連資格:経営士とは?
コンサルタントと深く関わる資格として、中小企業診断士だけではなく経営士も代表的です。
経営士とは、経営管理について幅広い専門知識を持ち、効率的な企業経営や業績向上に寄与できる資格のことです。
戦後混乱期の企業を指導する目的で経営士は創設されました。
経営士になるには次の3つの方法があります。
- 経営士資格取得試験に合格する(実務経験5年以上が必要)
- 経営士養成講座を受講修了する(実務経験5年以上)
- 経営士補を経て経営士になる(経営管理の実務の経験が3年以上)
今までに実務経験や実績がある方は、コンサルタントの関連資格の経営士を目指してみてください。
その他の国家資格の士業と中小企業診断士の違い
中小企業診断士とその他の国家資格の士業の大きな違いは独占業務の有無です。
中小企業診断士には、資格保有者にしかできない独占業務はありません。
その一方、他の国家資格の士業には、下記のように独占業務があります。
国家資格の士業の独占業務 | |
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税理士 | 税務署へ申告や申請を行う税務代理 |
社会保険労務士 | 社会保健および労働保険等の申請に関する書類作成や提出代理 |
行政書士 | 官公署に提出する書類や権利義務に関する書類の作成代理 |
社会保険労務士や行政書士と比較し、「中小企業診断士の資格は弱いのでは?」とイメージする方は多いのではないでしょうか。
しかし、中小企業診断士の資格を取得するために勉強した内容は様々な分野で活かせます。
中小企業の困りごとに対処できる汎用性の高い資格ですので、「独占業務がないから取得しても意味がない」と一概に決め付けることはできません。
まとめ
中小企業診断士がどんな資格なのかおわかり頂けましたか?
国家資格の中小企業診断士を持っていなくてもコンサルタントになれますが、経営の知識に関するアピールとして役立ちます。
コンサル会社への就職や転職を考えている方は、中小企業診断士の資格取得を考えてみていはいかがでしょうか。